新型シャラン、ガラパゴス・ミニバンに物申す！

ゾクッとするステアフィール

最初の四つ角を曲がった瞬間、鳥肌がたった。決して誇張なんかじゃない。本当にゾクッとしたのだ。そのぐらい、シャランの乗り味は上質だ。なかでも衝撃的だったのがステアリングフィールの気持ちよさ。街中の四つ角を曲がるときの速度なんてせいぜい10～15km/h程度。仕事柄たくさんのクルマに試乗するが、そんな低い速度でステアリングを切って感動できるなんてことは滅多にない。

具体的にどんなフィーリングなのか？ ひと言でいえば“驚くべきスムースさ”となる。まず、基本となるステアリングの支持剛性がしっかりしている。人間の感覚はとても緻密で、ごくわずかな変形やガタも感じ取ることができるが、シャランはステアリングを切り込んでも土台となるステアリングポストが微動だにしない。そんな基本がまずあって、そこに雑味を完璧に排除したウルトラスムースなステアリングフィールが加わる。

前輪からステアリングホイールまでの間には数多くのパーツが介在しているが、そのどれもが精巧に加工され、かつガタなく緻密に組み上げられていなければ、これほどまでのスムースさは絶対に出せない。さらに、本革巻き3本スポークステアリングの剛性、断面形状、電動パワステの制御、サスペンションのセルフアライニングトルク（ステアリングを中立に戻そうとする力）など、すべての要素が高度に調和した結果、シャランのステアリングは、単に切り込んだだけで快感をもたらすほどのフィーリングを獲得したのである。

のっけからディテール解説に突入してしまったが、一事が万事。シャランの魅力は、ステアリングフィールだけにとどまらず、これから紹介する数々の素晴らしいディテールの積み重ねにある。