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プリウス×インサイト、東京マラソン【後編】

プリウスの圧勝だったが…

から続く

最終セクションは築地4丁目から東京ビッグサイトまで。これまでとは打って変わって、このセクションに目立った渋滞はなく、7.2kmを20分で走りきり平均車速は21.6km/hに達した。ECONを再びオンにしたインサイトは15.8km/リッターというこの日最高の燃費を記録。プリウスに迫ったかと思われたが、プリウスはついに20km/リッターを超えてきた。真夏の渋滞した都内での実用燃費テストはプリウスの圧勝という結果となった。

というわけで、販売は絶好調、燃費も非の打ち所がないプリウス。だが、今回試乗した最廉価グレードの「L」に関して言うと、がっかりさせられた部分もあった。プリウスは、(1)タイヤサイズ (2)フロントダンパーのアッパーマウント構造 (3)電動パワーステアリングの形式 (4)遮音材の量という、走り味を左右するパーツがグレード毎に違っている。17インチタイヤ、入力分離型アッパーマウント、ブラシレスモーターを使った電動パワーステアリングが奢られる「ツーリングセレクション」のステアリングは適度に軽快かつ正確で、接地感も高い。それに対し、「L」のタイヤは細くて径も小さい185/65R15、フロントダンパーのアッパーマウントは通常タイプ、電動パワーステアリングはコストの安いブラシ付き、ボンネットフードなどのインシュレーター類を省略…というように、できるだけコストをかけない作りなのだ。

その結果、「L」のステアリングフィールは中立付近が曖昧で、掌に伝わってくるフィールも甘い。遮音材をケチっている分、アクセルを深く踏み込んだ際のエンジン透過音やロードノイズも大きめだ。街中、それも渋滞路ならさほど気にならないが、高速道路やワインディングロードを走れば「ツーリングセレクション」との違いは一目瞭然だし、通常ユースでもブラシ付きモーター採用モデルはステアリングギア比がスロー(アシスト力が弱いためステアリングギア比を低くせざるを得なかった)になっている分、駐車時や狭い四つ角などでのステアリング操作に忙しさを感じる。タイヤサイズの違いにより切れ角が違うため単純比較はできないが、参考までに書くと、両車のロックtoロックはノーマルが約3.7回転、ツーリング系が約2.8回転だ。

「ツーリングセレクション」も尖った段差でのショックの抑え込み(とくにリア側)にまだ課題を残しているが、それでも走り味にこだわるならこちらがオススメだ。セカンドベストとしては、「S」か「G」にサンルーフを装着するといいだろう。というのも、サンルーフ装着車のみに入力分離型アッパーマウントが付いてくるからだ。ハンドリングはツーリングセレクションに及ばないが、乗り心地はこの組み合わせがベストだ。

いずれにしても、アルミホイールとVSC(横滑り防止装置)、サイド&カーテンエアバッグが標準で付いて205万円という驚異的な価格と、38km/リッターという驚くべきカタログ燃費を実現した、お買い得にして燃費スペシャルグレードである「L」の走り味には、正直あまり高い点数は付かない。先代と比べれば完成度はずいぶんと上がっているものの、残念ながら「生まれ変わった」という表現を使えるほどではないというのが率直な印象だ。

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