国民的コンパクト車対決 FIT vs VITZの一騎打ち!
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:菊池 貴之
そう考えるとヴィッツは一見古典的な「割り切りコンパクトカー」だ。それはボディサイズに如実に表れている。ヴィッツの全長は3785mmと初代に比べ10cm以上も長くなっているものの、それでも今の平均的コンパクトカーと比べると一番短い。ホイールベースも旧型に比べると長いがやはり一番短い。
これが何を意味しているのか。それはコンパクトカーは基本的には2人で乗るという割り切りである。後席も確かにあるし、決して窮屈ではないが、余裕はない。具体的には身長176cmの私が前に座ったシートの位置のまま、後ろに座るとヒザ前スペースはこぶし一個分しか出来ず、頭に至ってはほとんど天井に着きそうになった。
一方、フィットは対極的だ。全長3900mm、ホイールベース2500mmと共にクラストップなだけではない。ホンダお得意のセンタータンクレイアウトによる低床プラットフォームのおかげもあって、同様の測定法でヒザ前にこぶし2つ分のスペースと、頭上にこぶし1コ分のスペースができる。
そのほか意外にフラットなインテリアデザインもあって、フィットはリアシートでもミニバン並みの開放感が得られる。この傾向は実はフロントシートに顕著で、インパネ全体が丸みを帯びて高い位置にあるヴィッツに対し、フィットのインパネは平たく低い。ウインドウスクリーンも頭上方向に広く、開放感では比べようがない。繰り返すがフィットは、コンパクトカーでありながらミニバン的なスペース作り手法を取り入れているのだ。
さらに怖くなるほどの違いがラゲッジスペースだ。横幅こそフィット1020mmにヴィッツ1010mmとほぼ同じだが、奥行きはフィット710mmに対して、ヴィッツは560mmしかない。加えフィットは横壁がフラットなのにヴィッツは凸凹。使い勝手の違いは想像するにあまりある。
例えるなら同じ一人暮らし用の一間として、ヴィッツが古典的な6畳風呂ナシだとしたら、フィットはユニットバス&ロフト付きのワンルームマンションぐらいに違う。同じようなスペースでも内部構成が全く違うし、それぞれの性能を“あきらめてない”。そこがフィットの凄さなのである。
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