エキシージS試乗、ロータスらしさは健在か?
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:篠原 晃一
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サイドスカートの分だけ幅の広がったシルを跨いでコクピットに収まる仕事が、現代のロードカーとしては容易でない部類なのは間違いないが、タイトなバケットシートに身体をあずけるとそこから降りたくなくなってしまうのも、まぎれもなくロータス流である。メインモノコックとコクピット周辺の造形はエリーゼと基本同一だから、近年のロータスに馴染みのあるドライバーなら、きっと落ち着く空間だろう。
キーを捻るという今や古典的な方法でV6を叩き起こし、シーケンシャル以前のレーシングカーのような、金属的なタッチのシフトレバーを1速に送って走り出す。ギアを2速、3速とアップしていくと、エンジンのトルクカーブは比較的フラットで、ある回転数から急激に盛り上がるということはないものの、タコメーターの針が3500rpm以上にあれば、どこから踏んでもカーンッという金属的な爆音を奏でてボディを蹴り出していく。
加速自体が充分に快感を覚えるレベルにあるのに加えて、スロットルを踏む右足の動きとエンジンが直結したかのようなダイレクトなレスポンスが、まことに気持ちいい。エキシージSにはCPM=ダイナミック・パフォーマンス・マネージメントなるシステムが備わっていて、それをツーリングからスポーツに切り替えるとレブリミットが7200rpmに跳ね上がり、マフラーからの排気音も一段と抜けがよくなるのが気分を盛り上げる。
では、1.2トン近くまで増えた車重は、エキシージSの挙動からロータスらしさを奪ってはいないか、という疑問に答えると、大丈夫、その身のこなしはロータス以外の何物でもなかったといっておこう。さすがに700kg前後の車重をソフトな脚で支えていた初期型エリーゼのごときヒラヒラ感はないが、さりとて挙動に重々しい印象は皆無で、未だノンパワーゆえに路面感覚をダイレクトに伝える、しかし決して重すぎないステアリングを切り込むと、エキシージSは嬉々としてコーナーに飛び込んでいくのだった。
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