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幻のスーパーカー「ヤマハ OX99-11」、3台のプロトタイプが走った

本気で市販化するつもりだった【2/3】

ここで「OX99-11」の歴史を軽く振り返っておこう。OX99-11はヤマハが市販化を念頭に開発したスーパーカーで、F1用の3.5L V12エンジンを搭載。0-100km/h加速は3.2秒。予定価格100万ドル(当時およそ1億円)で発売されるはずだったが、バブル経済の崩壊とともに販売計画が水泡に帰してしまった、まさに「幻のスーパーカー」である。

今回デモ走行を行った赤、緑、黒の3台のOX99-11。ドアシルには当時カーボンボディの開発・設計を担っていた“YPSILON TECHNOLOGY LTD.(イプシロン・テクノロジー)”の銘が入ったプレートが装着されており、赤が「001」、緑が「003」、黒が「007」とシャシーナンバーが記載されていた。つまり赤の車体が最初に作られた記念すべき一台目のプロトタイプということになる。黒のみオリジナルの中空鋳造ホイールを装着し、ほかはノンオリジナルに変更されていたそうだが、それ以外は目視できる範囲内において特に大きな違いはないように思われた。

カーボンモノコックの中央にバケットシートをひとつ備え、計器類とトグルスイッチが並ぶ様は、まさにロードゴーイングF1といった趣。ドアはドライバーの頭上を覆うキャノピーと一体化されており、横向きにガバッと開いて乗り降りする格好となる。リヤのカウルを開けるとミッドシップに鎮座するV12エンジンが姿をあらわし、大型のインテークカウルと独立スロットルを覗かせる威容はザ・F1! シャシーの設計も、そのまんまフォーミュラカーであり、「これを本気で市販化するつもりだったのか!?」と、超氷河期世代の筆者は、つくづくバブル景気が人々にもたらした熱量に空恐ろしさを感じてしまったのであった。

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