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ミシュランの冬タイヤ研究は日本の研究開発拠点「太田サイト」が主導していた

手作業でタイヤが出来ていく不思議

見学の一つ目は、テスト用のタイヤをハンドメイドで作る行程。あんな丸いモノを手作業で組み立てるのか? という驚きがありますが、トレッドはもちろん、ベルトやカーカスやサイドウォールの素材や組み合わせや配置、繊維の方向なども自在に調整できるのがいいんだとか。具体的にはドラムと呼ばれる作業軸にインナーライナーやカーカスを順番に手作業でクルクルと巻きつけては、ローラーで押し付けるようにグルリと回転させて接着して、タイヤケースを作っていきます。自動車の部品というよりは、衣料を作っているような雰囲気。ぜんぶ貼り終わったら最後に金属のビードワイヤーを左右に埋め込んで出来上がり。ペタッと平らなゴムシートに見えますが、空気が入るとトレッド面からサイドウォールが立ち上がる、立体構造になるのです。

出来たケースはドラムごと、同じ軸上にセットされている、トレッド面となるゴムのリングの内側へとスライドされます。トレッドとケーシングのセンターを合わせたら、ドラムを膨らませてケースを内側からトレッドに圧着し、仕上げにサイドウォールを巻き上げてローラーで圧着すれば、生タイヤの出来上がり。5分ほどの間に見る見るタイヤが形になりました。ちなみに生タイヤのトレッド(ゴム)はまだ柔らかく、縦溝は入っているもののパターンは刻まれていません。この生タイヤを金型(トレッドの雄型が刻まれている)に入れ、膨らませながら熱を加える「加硫」という工程を経ることで、晴れて完成タイヤとなります。こうして手作りされた試作タイヤで様々な性能実験を行なうんですね。

※このページの写真について
こんな感じで手作業。手に持っているローラーは張り合わせた素材の帯を仮止めするもので、本格的な圧着は(写真では)タイヤの裏側などに備え付けられたローラーで行ないます。

次のページ>>冬路面を擬似的に作り出すドラムも見学

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