NISMOが作るジューク 走りの完成度をチェック
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:中野 英幸
さらなる魅力として、ジューク特有のトルクベクトル機構付き4駆も見逃せない。2駆・4駆・4駆ベクトルの3種類をセレクターで選べるので、購入された方は同じカーブで比較してみると良いだろう。
2駆はクルマを真っすぐ押し出そうとする後輪駆動力が無いので、ハンドル操作に対する初期応答性が良く、鋭く軽快に曲がる気持ち良さがある。4駆はクルマの重量が増してドシッとしたような安定感と安心感が特徴。そして4駆ベクトルは両者の良いとこ取り。ドシッとした安定感を基本としながら、ハンドルを切り出したときには軽いクルマの如く動く。特に曲がりながらアクセルを踏んだときは、路面に敷かれたレールにハマりながらグイグイと曲がり込むオンザレール感の高い旋回が体験できるはず。
シートの良さも見逃せない。体がシート上で滑り辛いようにスエード調素材で仕上げており、拘束感は少ないのに腰と背中周りのサポート性が高く、まさにジャストサイズの服を着ているような一体感が得られる。このシートがあるので、4駆ベクタリングの鋭い旋回力も正確にコントロールできるし、路面からの入力が正確に体に伝わり、路面状況の読み間違いなども防ぐことができる。ちなみにハンドルもシート同様の考えで仕上げられているが、直に肌に触れる部分なので、肌触りまで考慮してアルカンターラを使用している。
最後にエンジンだが、確かにアクセルを踏んだときの反応、伸び感、力強さ、どれも向上しているが、ハッキリ言って他の性能の“伸びしろ”に対しては若干おとなしめ。せっかくスポーツモードを備えるのだから、すでに直憤システムや冷却の限界かもしれないが、モード選択したときだけもう少しトルクと出力があっても良いと思う。さらに言えば、パドルシフトを付けて、ハンドルから手を離さず狙った回転数で走れるようにしてもらいたい。
パワートレーンに若干の消化不良感を残しつつ試乗を終えたが、冷静になり思い出した。このモデルはNISMOのブランド展開における“開かれたスポーツ”だと…。イメージとしてはメルセデスのAMGスポーツパッケージやBMWのMスポーツのように、エンジンに手を加えずスポーツを追求したモデル。その先の究極のスポーツ性追求モデルがまだ具現化していないのでモヤッとした気持ちが払しょくできないものの、いずれはMモデルやAMGモデルのようなパワートレーンにまで本格的に手が加わった…そうジュークRのようなモデルが登場するのではなかろうか…。そんな先への期待を抱いてしまうほど、ジュークNISMOの完成度は高く、その走りは楽しかった。
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