新型スープラ公道試乗。必ずしも上級グレードが良いわけではない理由
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一
最も悩ましくクルマ選びを左右する特性が3つめとなる乗り味の質の違い。
まずシャーシバランスが最も優れ、気持ちよく軽快に曲がれるのが…SZだ! そうRZでは無いのだ。直列6気筒よりもフロント部が軽く、前後バランスが整う直4の特性に加えて、ランフラットタイヤ(17インチ)とシャーシとの相性が良い。加えて電子制御ではないノーマルサスにより、フィルター感なくクルマと直結している感覚が得られて、グリップ感などクルマに起きていることが直感的にわかり走っていて気持ち良い。
その上のSZ-Rになると、ランフラットタイヤではなくグリップレベルが高いミシュランの「パイロットスーパースポーツ」の18インチになり、また電子制御サスによってグリップ感が大きく高まるうえに、路面の凸凹でもクルマが跳ねにくくなり安定性が増す。さらにハンドル操作に対してクルマが従順に、さらには自動的に曲がってくれる自在感が高いことがSZとの大きな違いだ。確実に速く走れるし、自在感は高いのだが、そこにSZで得られていた気持ち良い操り感や、運転している感覚が若干影を潜め出す。イメージとしては、SZからSZ-Rになると、スポーツではなくグランドツアラー的な走りの質が色濃くなり、人馬一体的な世界は薄まるというわけだ。
では最も高価なRZの乗り味は? SZからSZ-Rの違いを踏まえてもらうと予想がつくだろう。そう、SZ-R以上に上質なグランドツアラー感が色濃くなるのだ。路面への張り付き感が高く、3.0L直6のハイパワーは踏み切ることができたら圧倒的に速いのだが、自動的に整ってしまう車両姿勢にはドライバーの操作介入要素が少ない感じがある。何も考えず速く走りたいならとても好ましい味付けだが、自分で姿勢を操り“乗りこなそう”とすると若干クルマとの距離感があり、意のままにならず“乗らされている”感がある。
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