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アウディe-tronは次世代プレミアムに相応しい乗り味。日本勢ではアウトランダーPHEVが近い

アウディe-tronは次世代プレミアムに相応しい乗り味。日本勢ではアウトランダーPHEVが近い

アウディ e-tron プロトタイプ

ナミビアの砂漠でクワトロを試す

成田国際空港から香港へ飛び、南アフリカ共和国最大の都市であるヨハネスブルグへ。そこからさらに経由して、ナミビア共和国へ入る。するとさらに小さなチャーター機が待ち受けていて、高所恐怖症の私が人生最大の危機を迎えながら行き着いた先は、小さな小さな砂地の飛行場「Bitterwasser lodge」だった。

点々と存在する木々と、赤土が広がる大地。年に一度、世界中のグライダーパイロットたちが集うというこの地に、布袋寅泰のギターのような偽装を施された「e-tron(eトロン)」プロトタイプが、ズラリと待ち構えていた。

「なぜナミビアを選んだのですか?」

そんな問いかけに対してアウディの広報女史は「今はシーズンオフで雪がなかったから砂漠を選んだのです」と答えた。そう。アウディ初のEVであるe-tronは、SUVタイプの電気自動車。そのシステムの目玉は、彼らが80年代からアイデンティティとして磨き上げてきた「クワトロ」4WDシステムだったのである。

とはいえアウディがこの地を選んだのは、それだけが理由ではあるまい。このクルマの持つ未来感とこの大自然との、“対比”ではなく“親和性”をイメージさせたかったのではないか? と、私は思うのである。

アウディe-tron。先んじてロサンゼルスで行われたイベント「ザ・チャージ」で公開されたこのEVは、最新のカメラ内蔵型「バーチャル・エクステリア・ミラー」を備える以外は、今このままディーラーで売られていても普通に売れてしまいそうなほど、市販車然としたルックスをしている。

果たしてその走りも、プロトタイプとは思えない完成度で我々を迎えてくれた。航続距離は400km以上。最大150kWの急速充電をすればおよそ30分で8割の電力を回復。いわゆるEVとしてのアベレージを満たしながらその出力は通常265kW(約360ps)/561Nm、ドライブセレクトでパワーを解放すれば300kW(約408ps)/664Nmものパワー&トルクを発揮する。これは同社SUVのハイエンドSUV「SQ5」(354ps/500Nm)をも上回る数値であり、初物EVとしては驚きのスペックである。

ただし700kgものバッテリーシステムを搭載する関係から車重は2490kgと重たく、試乗路の特性もあってかその加速感は、意外にも圧倒的とは言いがたかった。確かに速いけれど、慣れてしまえば普通なのである。

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