じわじわ人気のホンダ「オデッセイ」 強者アルファード／ヴェルファイアの独占市場でなぜ売れているのか？

ホンダ オデッセイ

「熱心なホンダ車ファン」というニーズ

だが、以上のことは枝葉末節にすぎないのかもしれない。乗降性が多少悪かろうが、あるいは荷室が若干狭くなろうが、多くのユーザーは「とはいえアルヴェルが一番カッコいい！」「広さとリセールで考えればアルヴェルの一択でしょ！」というような理由から、アルヴェルを選ぶだろうと考えられるからだ。

ならば、毎月800台から1000台ぐらいというそこそこの数のオデッセイは、いったい誰が買っているのだろうか？

おそらく、そこには2種類のユーザー層があるはずだ。ひとつは「宗教上の理由」でアルヴェルを購入することができない人々である。

例えばあなたが2人の子を持つ親で、この夏に3人目の子どもが生まれてくる予定であるとする。そしてあなたは「熱心なホンダ車ファン」でもあると想像してみてほしい。

今乗っているのは「ステップワゴン」だが、第１子が生まれるまでは「シビック タイプR」に乗っていて、生まれて初めて買った車は1992年式「CR-X」の中古車だった。

そんなあなたは、第3子の誕生に伴ってLサイズミニバンが必要になるからといって、「はいそうですか」とばかりに、アルファードをさっさと注文できるだろうか？

もちろん「それはそれ、これはこれ」といった感じで割り切って、躊躇なしにアルヴェルを買えるホンダ車ファンもいるだろう。

だが一方で「自分は、宗一郎さんの肖像画を踏むわけにはいかない！」というようなマインドで、リセールも室内高も若干劣ることを承知でオデッセイを選ぶ人だっている。オデッセイの月販800～1000台の一部は、このような人々によって支えられているのだ（たぶん）。