トヨタ86、“愛”のある一部改良とは?
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一
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ところで、手を加えたことが良かったか悪かったかといえば、間違いなく良かったと思う。けれど、地味な変更であることは間違いない。登場から丸2年たって、外観に手を加える手もあっただろう。コンピューターをいじってパワーを上げることもできただろう。けれども、こうしたアフォーダブルなスポーツカーの場合、大きく変わり、すでに買って乗っているオーナーを嫉妬させるべきではない。
金銭的に無理をして買った人も多かろう。家族をなんとか説き伏せて買った人も多かろう。10年乗るぞ! と意気込んで買った人も多かろう。彼らの愛車を早々に型落ちにしてはいけない。マクラーレンMP4-12Cが出てから3年そこらで650Sが出るのとはわけが違うのだ。
その点、レースでの実績も伝統も何もないスポーツカーを真っ先に買って、やれ峠がどうの、スバルとどう違う? などと面白がってくれるお客さんの大切さを、トヨタはちゃんとわかっている。だからトヨタは今回、オーナーに最大限配慮した。さらに改良前のクルマに手を加えれば、改良後と同じ状態にできることも、トヨタが現オーナーを大事に思っている証拠だろう。
こういうやり方を続ける限り、ファンは今以上にじわじわ広がっていくんじゃないだろうか。なんといってもスポーツカーはファンしか買わない。高齢のおじいちゃんの病院への送り迎えに必要だからと86を買う人はいないのだ。だからファンを大切にする姿勢を続けていれば、いつしかそれが“86らしさ”となり、伝統となっていくはず。ま、最初からもう少しカッコよい姿で登場していれば、もっともっとファンは増えていたと思うが、それは責任をとらないいち書き手のきわめて個人的な意見だ。
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