ホンダ ヴェゼルに追加のツーリングは欧州仕様がベース。乗り味はどう違う?
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:菊池 貴之 2
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もちろん、実際はそんな簡単な話ではなく、5年前に発売された国内のヴェゼルには、2度目の車検をむかえる「買い替え需要期」が到来しつつあるのも、今回の背景にはある。兄貴分となる新型CR-Vが昨年秋に国内発売されたのも、こうしたヴェゼルからのステップアップ需要を見越した側面があろう。
しかし、ヴェゼル最大の魅力はBセグメントとしては大きめとなる絶妙なボディサイズと、それに輪をかけて広い室内空間であり、そこにひかれてヴェゼルを購入したユーザーがビッグサイズのCR-Vに大量移行するとも思えない。となると「ヴェゼルからヴェゼル」という営業パターンも想定するのが自動車ビジネスの定石である。この1.5リッター直噴ターボがお馴染みの「RS」ではなく新グレード名の「ツーリング」をあえて名乗るのもまた、既存のヴェゼルユーザーに買い替えの“言い訳”を与える意図的な戦略の意味も持つ。
そんな新しいヴェゼルツーリングだが、ホンダの1.5リッター直噴ターボは素直にパワフルだ。とくに今回のようなウェットでは不用意に踏み込むと、トラクションコントロールのスキを見て前輪が空転しかけるほどの大トルクである。
このエンジンは従来の2.0~2.4リッターユニットの代替を想定したもので、性能的にも重量でもヴェゼルにはちょっと過剰気味であることは否定できない。もちろんごく普通の運転で破綻するわけではないが、同じ非ハイブリッドとなる既存1.5リッターと比較すると、ツーリングの車重は約150kgも重く、足まわりも明確に硬い。そのフットワークはきれいな路面ではそれなりにしなやかなのに、4輪をバラバラに蹴り上げるような不整路面ではとたんにユサユサと揺すられてしまう。
ただ、それでも不快さや不満より「チューニングが大変だったんだろうな」と開発陣の苦労をしのびたくなるのは、ボディ全体にガシッとした剛性感があり、その強力な動力性能のわりに意外なほど静粛性が高かったからだ。
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