フリード/フリード+に試乗。ライバル・シエンタとの違いは?
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:小林 俊樹
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冒頭の田辺氏がいくら「シエンタは敵でない」といっても、価格設定を見ればシエンタを意識しているのは明らかで、装備を揃えると、両車は価格でも拮抗する。
今や必須アイテムとなりつつあるアドバンスドセーフティ機能でも、シエンタのセーフティセンスCよりフリードのホンダセンシングのほうが高機能。さらに車間距離維持機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)は現時点でシエンタにはないフリードの特権。ACCの便利さを知る人には、これひとつでもフリードを選ぶ理由にはなる。
それにしても、この小さなボディにあらゆるものを詰め込んだフリードは、まさに日本人が得意とするボンサイ技術の典型である。筆者自身はミニバン不要の家族構成だし、フリード+のような大容量トランクを必要とする生活も、車中泊趣味も持たない。なのに、フリード/フリード+をちょっと見ただけで「これが1台あれば、こんなことできる、あんなこともできる…」とあらぬ皮算用をかきたてられてしまう。
そもそもフィットを買いにショールームを訪れても、フリード+を見せられると思わず「予算があればこっちにしよう」と傾く向きは多いだろう。また、フリードのミニバン機能は、少しばかりの余裕のちがいはあっても、上級の「ステップワゴン」と実質的に差はない。「どうしても8人乗せたい」という切実な事情をお持ちでないなら(フリードは最大7人乗りまで)、ステップワゴンを見に来ても「フリードでいいや」となってしまうケースも少なくなさそう…と勝手に妄想してしまう。
田辺氏が「シエンタのおかげでフリードが復活した」というように、新型フリードの宿敵はシエンタではなく、じつはフィットやステップワゴンかもしれない。かつての王者だったフィットも、国内販売では今ひとつピリッとしない。このままいくと、ホンダの国内市場は「軽とフリードだけ」になってしまうのではないか。新型フリードの爆発的な機能を見るに、他人事ながらそんな心配をしてしまう。
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