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帰巣本能を満たすボルボ V50×ロッククライミング

乗った瞬間に「帰ってきた」と思える

という具合に恐怖とも緊張とも言うべきものが抜けきらないまま、私たちは下山し、再びV50に乗り込んで帰路についた。不思議だったのはシートに座った瞬間、妙にホッとしてしまったことだ。その日本車とも、もちろんドイツ車とも違う優美かつ質実剛健なスカンジナビアンデザイン。ウインカーやスイッチ類などの操作系はあくまでも大柄で使いやすく、北欧家具を思わせるインパネ中央のフリーフローティング・センタースタックは、ビジネスライクでも華美でもなく、優しく包み込んでくれる。

「ああ、やっと帰ってきた…」、実際にはまだ帰れていないのだが、良くできたクルマにはそういう安堵感や、ある種の帰巣本能を満たしてくれるものがある。そして昨日と同じく懐かしくもガッシリしたステアリングを握って走り出し、やや重ったるいボディを、低回転からトルクのある2.5リッターターボで引っ張ってるうちに、徐々に氷が溶けていくように緊張も解けてくる。

ああ、ホントに疲れた…帰りの道すがら、私たち3人は交代交代、泥のように眠りながら中央高速をぶっ飛ばした。ノンターボモデルに比べ、少々堅い足まわりは気になったが、それでもV50はこの上もなく快調に4時間弱のドライビングをこなしてくれた。正直、細かいクルマのフィーリングなんてどうでも良くなっていた。とにかく昨日、今日とトライし、クリアした未知の体験が味わい深かった。

私はこれぞ本当の“ドライブ”だと思った。もちろんクルマは大事だ。いいクルマは、いい体験のサポートに必要不可欠であり、安全をもたらしてくれる。しかし何よりも大切なのは、そのクルマで“どこに”行き、“何を”するかなのだ。その当たり前の真実を、ボルボV50とロッククライミングは思い出させてくれたのだ。

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