ボルボXC60・海外試乗。イメチェンは突然に
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:ボルボ・カー・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:ボルボ・カー・ジャパン
乗り込むとその思いは確信に変わった。まずはインテリアだ。確かにその北欧家具調の優美なインパネは、既にあるV50やS40のを進化させたものだ。だがそこに貼ってある無垢っぽい素材のオーク材や、明るくざっくりした感触のシート表皮はいままでにないテイスト。ここにきてラテン風味が入ってきている。
なによりも走り味だ。私はステアリングを握り、50mも走らずにこう思ったのだ。「これはボルボじゃない」と。ボルボはどんなに性能が高いモデルでもある種の“ダルさ”を持っていた。ステアリングは必要以上に正確でなく、繊細さより手応え重視。エンジンも力強いが、鋭くはない。ところがXC60は逆なのだ。ステアリングは軽めでフィーリング重視。切り込むとノーズがスッと内側を向き、切れば切るほどグイグイと内側に切れ込んでいく。それも滑らかに。
そしてエンジンだ。今回私が乗ったのは、来年真っ先に日本に入るであろう最速グレードの「T-6 AWD」で、285馬力の横置きの3リッター直6ターボを積んでいるのだが、これが数値以上にパワフルかつエモーショナル。アクセルはかなりの早開き設定で、ちょっと踏んだとたんにガツン! と発進。そしてわずか1500回転から400Nmの最大トルクを発生させることもあって、2000回転付近からドライバーの予想を超えて吹け上がっていく。もはや完全に快楽重視のラテン系なのだ。
実際、飛ばせば飛ばすほどボディの重さを感じさせなくなるクルマで、最後の方は「もっとパワーがあってもいいなぁ」とか「パドルシフトが欲しい」と思うほどだった。要するに乗れば乗るほど“ボルボに乗っていることを忘れる”。こんなボルボは初めてなのだ。確かXC60のプラットフォームは基本的には現行S80やV70と同じで、ランドローバーのディスカバリー2とも共通。しかし、チューニングはかなり違っていて快楽重視。イタリア人が作ってるんじゃないの? 言いたくなるほどだ。
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