マツダMX-30はハイブリッド車より成熟した走りのEVに魅力あり。大本命は22年登場のPHEVかもしれない
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:望月 浩彦 97
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首都高と横浜の街なかを走り回った。静粛性の高さ、変速がないことによる加減速のスムーズさ、重心の低さなど、EV特有のメリットを体感でき、そのうえで従来の内燃機関車から乗り換えても違和感がない。特に減速時、アクセルオフによってある程度減速し、次にブレーキペダルを踏んで停止までもっていく操作に対する自然な挙動が好ましい。また加速する際、アクセル操作に連動した人工的なサウンドがスピーカーから流れるが、音量、音質が適切なのに加え、ペダル操作、すなわちドライバーの意思と音の高まりがきれいに一致していて気持ちよい。
加速する際、ドライバーは身体で感じる加速Gのみならず音からもクルマの状態を感じ取っている。無音に近い状態で加速するEVが、刺激的だがどことなく薄気味悪いのは、これまで当たり前のように耳にしてきた音がないからだ。無音に慣れれば違和感もなくなるのだろうが、マツダは従来の内燃機関車から乗り換えても違和感のないEVを目指した。ちなみに車内で聞く音といえば、最近のマツダ車のウインカーの音は世界一上品で美しいと思う。静粛性の高いEVの車内で聞くと、より幸せな気持ちになれる。
アクセルオフによって得られる減速Gを最大0.15Gにとどめており、いわゆるワンペダルドライビング(アクセルオフのみで短い距離で停止寸前まで減速すること)はできない。ステアリングホイールに備わるパドルを操作することで減速Gの強さを選ぶことができる。左のパドルを一度引くと0.07~0.13Gが発生し、もう一度引くと最大0.15Gが発生する。ちなみに法律上ブレーキランプを点灯させなければならないのは0.15G以上の減速Gから。右のパドルを一度引くとやや空走が伸び、もう一度引くとニュートラルに近い状態で空走が伸びる。
ワンペダルドライビングはモーター駆動車ならではの挙動で、慣れるとコントローラブルで便利かつ楽しいが、慣れていない人が運転するとちぐはぐな挙動になりがち。ドライバーのみならず同乗者にも不快な思いをさせる。その有用性を否定するものではないが、これもやはりEVの普及率が低い現状で採用すべきではないというのがマツダの言い分だ。
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