アウトランダーPHEVの次世代4WDで氷上走行
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:小林 俊樹
さて、二刀流で航続距離の短さというEV最大の欠点を消せるアウトランダーPHEVだがユニークなのはそれだけじゃない。駆動システムは前代未聞のツインモーター4WD。前後それぞれ全く別個に搭載した82psのモーターによりフルタイム4WDとして走れる。つまり、ドライブシャフトで前後が連結したコンベンショナルな四輪駆動ではなく、前後2モーターのラジコンのようなもの。果たして氷上ではどのような動きを見せるのか?
まずはアクセルを踏み、発進するが挙動はスムーズ至極。古典的な4WDの不自然な挙動や作動音はまるでない。それは恐らく4輪同士のタイヤの干渉がないからで、それぞれがパワーを素直に路面に伝えているのがわかる。
とはいえ今回氷上にミニコースを作り、ちょっとしたパイロンスラロームをやったがいくら優秀なツインモーター4WDでも、オーバースピードでコーナーに突っ込んだら滑りっ放し。思い通りに走れなくなる。
しかし、低速でゆっくり走ると驚くほど安定。ステアリング通りに素直に曲がる。特に三菱自慢の4輪電子制御のS-AWCを使うと、コーナー入り口での曲がりにくさを絶妙に解消。ちなみに私はメディア対抗で行ったタイムアタックで11位に留まった(笑)。
要するにこのクルマの凄さの本質とは、マジで使えるEVであること以上に、コイツは二輪駆動だとか、四輪駆動だという古典的な駆動方式バトルから離れられるところにある。さらにスペース的にもエネルギーロス的にもツインモーター式はエンジンを2つ搭載することより難しくないはずだ。
つまりアウトランダーPHEVが、氷上で見せた真実とは、クルマが古典的な運動性能の縛りから逃れる瞬間。今までは「4WDだからこう運転しろ」とか「FFだからアンダーが強い」とかそういう古臭い教えが存在したが、アウトランダーPHEVは無関係。タイヤ4つの限界まで加速できるし、止まれるし、曲がれる。そこのふるまいがやたら自然なのだ。まるで構えなくていい。
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