新型SLには装着されない 吉田匠絶賛の機能とは?
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:メルセデス・ベンツ日本
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サンタモニカからビバリーヒルズへとLA周辺の高級住宅地を抜ける際には快適さが際立ったSL350だったが、岩山がそびえる内陸部のワインディングロードに至ると、ボディサイズと車重を忘れさせる俊敏な身のこなしと、踏めば踏むほど熱く応える3.5リッターV6エンジンがもたらすドライビングの愉しさが前面に浮き出てきた。新型SLクラスのコンセプトは「かつてないほどスポーティ」なのだというが、それは全般に間違いなく達成されていると思う。そのなかでも、エンジンを積極的に高回転まで引っ張り上げるチャンスに満ちていて、しかもフロントが軽いゆえにコーナーでの挙動が一段と軽快なSL350は、スポーツカーらしいドライビングを最も鮮烈にエンジョイできる一台だと僕は思った。
1950~60年代のオリジナル300SLは別にして、近年のメルセデスSLというと、取り敢えず快適で間違いのないオープン2シータースポーツとして、リッチ層に選ばれるクルマというイメージが僕のなかでは支配的だった。もちろん新型も基本的にはそういうキャラクターを持つクルマだが、それにとどまらず、コーナー内側の縁石をミリ単位でかすめるようなドライビングも愉しめる、繊細なスポーツカーに進化していると実感した。
したがってニューSLは、かつてポルシェのスパルタンなモデルを好んで駆り立てたような硬派なスポーツカー乗りが、さすがに3ペダルのMTを駆使するのをヘヴィに感じる歳になり、2ペダルの快適なスポーツカーとともに人生の後半を過ごしたいと思ったときに、充分その対象になり得るクルマだと思った。つまりSLは、酸いも甘いも知り尽くしたスポーツカーエンスージアストの最後の選択に値する、実にいいクルマなのである。ただしその「いいクルマ」感を実現するための要件に、ABCを備えたシャシーがあると思う。だからこそ日本でも、350を含む全SLにABCが装着可能になることを提唱したい。
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