マツダ3改良モデル試乗 やや弱かった走りの質が高められ全体の統一感を得た
掲載 更新 carview! 文:伊藤 梓/写真:篠原 晃一 289
掲載 更新 carview! 文:伊藤 梓/写真:篠原 晃一 289
最初にSKYACTIV-Dから試乗したのだが、発進から道の流れに乗るまで力強く加速していくのが印象的だった。さらにスピードを上げても、中速、高速まで滑らかにトルクがつながっていく。これまでは「低速トルクはちょっと物足りないし、踏み込んでもあまり気持ちよく伸びない」と、やきもきするシーンもあったのだが、今回はそれが改善されていた。
実は、スペック上では最大トルクは変わっていない。「それなのになぜトルク感を感じるのか?」と、エンジニアに質問してみると、マツダのクルマでよく耳にする“躍度(やくど)”が関わっているという。躍度とは、加速度の変化率のことで、要するに「力が増加する勢い」のこと。
従来は、加速度の大きさによってクルマの力強さを感じさせていたが、今回のディーゼルエンジンは、この躍度をうまくコントロールしている。クルマの初期の動き出しを力強く感じさせつつ、その後も気持ちよく右肩上がりに加速する感覚にチューニングしたという。
そして、要のe-SKYACTIV Xに乗り換えてみる。恐る恐るクルマを動かすと、思わず「これだ!」と口にしてしまった。初めてマツダ3を目の当たりにした時、「どんなクルマなのだろう」と想像した乗り味にとても近かったのだ。
低速から高速域まで、ペダルの踏み込むリズムに呼応して、エンジンが滑らかに力を流してくれる。SKYACTIV-Dは、パワフルでディーゼルらしくなったが、Xは単にパワーが上がっただけではなく、クルマ全体の完成度と一体感が上がっているように感じた。
Xは空力抵抗をコントロールするために、ラジエータ全面に「アクティブエアシャッター」を装備している。これまではその開度によってフロントのリフト量が増減していた。たとえば、シャッターを閉じるとフロントのリフト量が小さくなり、フロントに荷重がかかることでクルマの動きが機敏になる。逆にシャッターが開けばフロントのリフト量が上がり、荷重が小さくなるのことでクルマの動きはダルくなる。それを今回の改良でGVCのゲインをコントロールし、荷重を最適な状態にすることでどんなシーンでも一貫した乗り味が実現できているそうだ。
さらに試乗車はAWDだったため、乗り心地もしなやかで「これがマツダ3のベストモデルだ!」と素直に思った。また、Xに関しては、これまで購入したユーザーに対してもエンジンのソフトウェアの無償アップデートを行うという。これまでXを選んだ人たちも、その良さを味わえるようになっているので安心して欲しい。
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