【いまだ課題と苦境ばかり】なぜここまでEVは売れなくなった？ 今わかっている本当の理由と模索すべき解決策

三菱 eKクロスEV

インフラ、航続距離、充電時間…見えてくるのは課題ばかり

充電インフラ整備の遅れも深刻だ。とりわけ地方部では急速充電器の台数が圧倒的に不足しており、「どこで充電するのか？」という基本的な不安が依然として根強い。都市部でもマンション居住者の多い日本では、自宅に充電設備を導入できないケースが多く、EV所有のハードルが高い。

これらに加えて、航続距離への不安も課題だ。充電に時間がかかるという問題も根強く、長距離移動をするドライバーにとっては大きなストレスとなる。冬場の電力消費増大による航続距離の低下など、気候条件に左右される点も懸念材料となっている。

EVの選択肢の少なさも販売低迷の一因として挙げられる。輸入車の高価格帯のEVは増えてきているものの、手ごろな価格帯のコンパクトカーや軽自動車タイプのEVはまだ限られており、消費者の多様なニーズに応えきれていない状況である。ハイブリッド車やガソリン車と比較して車種のバリエーションが少ないため、消費者は自分に合ったEVを見つけにくいと感じている可能性がある。

既存の自動車メーカーがEVシフトを進める一方で、その生産体制の移行の遅れも指摘されている。

従来のガソリン車の生産ラインからEVに切り替えるには莫大な投資と時間が必要であり、需要の変動に柔軟に対応できていないケースが見られる。また、バッテリーの安定的な供給網の構築も課題であり、サプライチェーンの脆弱性が露呈することもある。