【こういうのがいいんだよ】速くて安くてカッコいい。若者に大人気となったスポーツカー日産「180SX」

日産 180SX

一部のこだわり派は「シルエイティ」に改造

当時、すでに量産車の駆動方式はFF（前輪駆動）が主流となっており、スポーティカーといえども、走りの性能とともに居住性や快適性を重視する傾向が強まっていた。

だが、シルビアや180SXは、頑なにフロントエンジン、リアドライブ方式を堅持していた。無論、スポーティな走りを追求した結果だった。

同時に、ローレルやスカイラインといった、他の後輪駆動モデルとシャーシを共用していたことから、手軽にレイアウト変更できないという事情もあった。

少なくとも、この時代にFFの新しいシャーシへの切り替えが遅れたことが、日産のその後の不振のきっかけとなったのは間違いない。

しかし180SXは、数少ない本格的な後輪駆動車として、今もって根強いファンが存在している。言うなれば「瓢箪（ひょうたん）から駒」と言えるクルマであった。

その走りはスポーティそのもの。ボディ剛性こそ当時でも今ひとつだったが、ハンドリングに優れ、走り屋を魅了した。

一部のマニアからは、シルビアに比べて70mmほど長いボディや、リトラクタブルヘッドライトによるフロントオーバーハングの重量増などがマイナスポイントとして指摘された。

しかし、一般のユーザーにとってはシルビア以上にスポーツカーらしいルックスが好評だった。生粋のこだわり派は、フロント回りをシルビアと同スタイルにした、通称「シルエイティ」に仕立てて“走り”を極めた。