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カイエン試乗記・後編は 本命ハイブリッドの実力

“ポルシェの”ハイブリッドという衝撃

より続く

「ポルシェがポルシェであるための“らしさ”とは何か?」…そう思いならがカイエンSハイブリッドを踏んでみる…。すると、モーターによる走り出しから、エンジンへと駆動がスイッチして、爽快な違和感のない加速が生まれた。このクルマの答えが少し見えた気がした。

見た目は他のモデルと変わりはない。最も大きな違いといえば、フロントフェンダーに小さく控え目に配された「Hybrid」のエンブレムくらい。室内も同様の印象で、違いといえばセンターコンソールに据えられたモニターに、トヨタのそれに似たエネルギーフローや燃費情報が示される程度だ。だがそれは「あえて」なのだろう。つまりハイブリッドが特別ではなく、ラインナップのひとつ、という意味において。

最初に感動を覚えるのはその静寂だ。もちろんモーター走行ゆえの静けさだが、それ以上に心に響くのは今、自分が運転しているのが「無音のポルシェ」であるという事実だ。しかも、センターコンソール上のE-powerスイッチを押せば、バッテリー残量次第でEVモードをより積極的にも使える。走り神ともいえるポルシェが無音で走る様はあまりに衝撃的で、時代の変化はもちろん、思想や哲学すら進化しつつあることを感じずにいられない。

ハイブリッドはご存知のように、我が日本のトヨタが初めて市販を行って既に10年以上が経過している。当時の欧州メーカーは、この技術を鼻にもかけなかったという事実が歴然としてある。しかしながら欧州勢の多くはここ数年でハイブリッドの市販や開発をアピールし始めた。そしてアッという間にここまで来るのだから、したたかだ。

そんな手腕の巧みさにも驚くが、それより何より「ポルシェのハイブリッド」というインパクトは、自動車史上あまりに大きい。もっともポルシェは今から110年前に、世界初のハイブリッドともいわれるローナー・ポルシェ“Semper Vivus”を世に送り出してはいる。しかし、現代に改めて送り出された“ポルシェの”ハイブリッドという存在の衝撃はずっと大きいはずだ。

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