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カイエン試乗記・後編は 本命ハイブリッドの実力

シンプルなハイブリッドシステム

カイエンSハイブリッドを走らせて次に感じるのが、エンジンに切り替わり加速していく時の違和感のなさだ。これはエンジン/モーターの切り替え時の違和感ではなく、アクセルを踏む右足と駆動/ 加速が確かにリンクしている、という点での話だ。

例えばライバルのレクサスRX450hが採用するTHSIIは複雑な動力分割方式を用い、電気駆動の割合も多いが、そのためかアクセルを踏み込んでも右足と駆動/加速のリンクにリニア感は薄い。もっともそれが新たな感覚、といえばカイエンSハイブリッドの感覚は古いとも言えるのだが、同時にそこには、これまでの自動車と変わらぬ“あの感覚”がちゃんとある、ともいえる。

ポルシェがVWとともに開発したハイブリッドシステムは、トゥアレグ・ハイブリッドと同様で、アウディが開発しS4などにも搭載される3.0リッターのV6スーパーチャージャー(333ps/44.9kgm)に、やはり新たな8速のティプトロニックS(トルコンAT)を組み合わせる。が、ハイブリッド用は他の8速ATと違い、アシスト時や回生モード時の高負荷に大パワーの伝達を必要とするため、2つのオイルポンプでオイルフローの増加に対応する。

そしてこのエンジンとトランスミッションの間に、クラッチとモーター(47ps/30.6kgm)を挟み込む仕組みを採用。バッテリーはトゥアレグ・ハイブリッド同様に本来スペアタイヤを収納する場所にサンヨー製のニッケル水素(288V、1.7kW/h)を収める。システムはトヨタTHSIIに比べシンプルな構造だ。

こうしたハイブリッドの方式をどう呼ぶかは特に最近意見が別れるところだ。トヨタは電動駆動の割合が強いものをフル(ストロング)ハイブリッドと呼ぶため、それに則って言うとクラッチを持つとはいえモーターひとつでアシスト的に走行を賄うこの方式はマイルドハイブリッドだろう。が、作動でいえばモーター走行の有無でフル/マイルドを分ける呼び方もあり、ポルシェは後者を採用する。よってこの方式をポルシェは、パラレル式フルハイブリッドと呼ぶ。

カイエンSハイブリッドはエンジンとトランスミッションの間にあるクラッチの作動によって、モーターのみ、エンジン+モーター、エンジンのみといったモードを作り出す。特徴的なのは走行中にクラッチを積極的に作動させ、なるべくエンジンを停めること。156km/h以下までならアクセルをオフすると途端にエンジンを停める辺りが自慢だ。これをしてポルシェは「セーリング」と呼ぶ。ちなみにVWトゥアレグ・ハイブリッドは同様の作動を「コースティング」と呼ぶ。

が、感じるのはそうしたモードより何より、先に記した違和感のなさだ。

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