ウラカン・ペルフォルマンテとアヴェンタドール Sの異なる味わいを堪能した
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:ランボルギーニ・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:ランボルギーニ・ジャパン
そんなペルフォルマンテをサーキットで走らせるのは、この上ない喜びだった。5.2リッターの排気量を持つV10エンジンは、かつてのフェラーリ458イタリアほどのカン高いソプラノを奏でることはない。しかし低回転域でビブラートしていたマルチシリンダーの爆発サウンドが、回転が上昇するほどに揃い、野太く突き抜けて行く。そしてアクセルを踏めば踏んだだけパワーがわき上がり、その強大なトルクが4WDのトラクションによってあますところなく路面に叩きつけられる。その加速力は体中のドーパミンが一気に溢れてしまうほど気持ちよく刺激に満ちていて、これがレッドゾーンの8500rpmまで到達した途端にパドルを引けば、7速DCTが間髪入れずに“おかわり”をくれる。
意外だったのはそのハンドリングが、エンジンの刺激とは対照的に、極めて洗練されていたことだ。スプリング&スタビライザーを固めたという足回りは予想よりかなり柔らかく、そのボディ剛性の高さからすればもっと固められるのでは? と最初は感じた。それでもステアリングを切り込んでいくと、ペルフォルマンテは忠実にそのノーズをコーナーのイン側へと向けて行く。そしてこのしなやかな足回りに適切な荷重を与えれば、曲率の高いコーナーでもグイグイと回り込む。
さらに高い旋回速度を保ったままブレーキを離し、横方向へ荷重を移して行くと、適度にリアタイヤを滑らせながら向きを変えてくれる。スライド時の挙動もゆっくりとしていて扱いやすく、クイックな小径ステアリングで合わせて行くだけでこれをコントロールすることができてしまうのだ。そしてここからアクセルを合わせて行くと、4WDのトラクションが横方向のGを縦方向に変えて、しっかりと直線的に立ち上がってくれる。
ANIMAは「スポーツ」モードがオーバーステア気味で、「コルサ」モードがより実践的な弱アンダー傾向とされているが、ペルフォルマンテは全体的なグリップ性能が向上したこともあってか、コルサモードでより真剣味のある挙動コントロールを楽しめた。追い込めばブレーキング時にリアの接地性が失われる傾向があり、もっとノーズダイブを減らすべく足回りやエンジンマウントを固めてもよいのかな…とも思える部分も確かにあった。タイヤ(ピレリ P ZERO 2)への依存度が高く、このライフが尽きると動きがルーズになりすぎるのは、これだけの速さを持つスーパースポーツなのだから仕方のないところだと言えるだろう。
しかし、これほどに高次元かつ刺激的な走りを、まったくの趣味でロードカーとして楽しめてしまうということには、ただただ驚嘆するという他に言葉がみつからない。3400万円オーバーという価格はそれだけを聞けば一般的にはばかげた話だが、それだけの価値がこのペルフォルマンテには込められていると素直に感じる。ランボルギーニは先代のガヤルドから、常にまじめなクルマ作りをしてきた。だからこそこれを、心から賞賛できるのだとボクは思う。
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