NSXに本格試乗した。看板技術のSH-AWDは諸刃の剣か?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:本田技研工業株式会社
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ピレリのハイグリップタイヤに履き替え走り出したサーキットドライブでは、滅多に雨の降らない砂漠地帯に雨が降ったことで、ドライからウェットまでNSXの様々な特性を確認できた。
まず、高剛性ボディと低重心設計、そしてミッドシップレイアウトに加えて内蔵物全てをできる限りクルマ中央に近づけて搭載する努力により、速度に対する目の慣れを要するほどの速さにまで軽々と到達する運動性能を備える。4つのタイヤを存分に使える42:58の前後重量配分と、強烈なストッピングパワーを発揮するセラミックカーボンブレーキ(筆者注・OP装備になるはず…)による暴力的な減速力をフルに活かすには、コーナーに対して異常接近するまでブレーキを踏まない精神力の鍛錬も必要だ。
ドライブモードをクワイエットモード>スポーツモード>スポーツプラスモード>トラックモードと変更するにつれ、操作に対するクルマ全ての反応がドライバーの感覚に近づいてくる味付けは見事。特にエンジンと9速トランスミッションの味付けが劇的に変わる。パドルでマニュアル操作しないATシフトのままでも、官能的なエンジンの吹け上がりと排気音を味わえるようになり、さらにシフトダウンまで適切なタイミングで素早くウォンウォンと行われる。結果として、速さだけを求めるならATモードでドライバーはハンドル操作に集中した方が良いと思えてくる。
またブレーキはストッピングパワーだけでなく、ブレーキ踏力に正確かつ素直な反応を示し、回生ブレーキの制御などを含めてハイブリッドカーであることを忘れるほどコントロール性がいい。ちなみに排気音が気持ちいいこともあり街中走行でもハイブリッドを意識する場面は少ない。逆にハイブリッドの象徴となるEV走行は、アクセルをうまく操作しても20km/h以下でないと使えないようなセッティングだ。言い換えれば、NSXの電気モーターは安定して官能的に速く走るためのものといえるかもしれない。
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