新型ケイマン、ベストバイグレードはどれだ?
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:小林 俊樹
デビュー直後のケイマンは「911の弟分」という性格が強かった。つまり、ボクスターと911の間を埋めるモデルという位置づけだったわけだ。実際、2005年のデビュー当初は高性能版の「S」のみが発売され、価格は777万円と、ボクスターより大幅に高かった。翌年には"素"のケイマンも追加されたが、それでもボクスターとの価格差は50万円以上あった。
ハードウェアはほとんど同じなのに、なぜコストのかかるオープン機構をもつボクスターのほうが安いのか? そんな質問に対し、ポルシェの担当者が「われわれはパフォーマンスに対して価格を付けるのだ」と答えてみせたのをいまでもよく覚えている。
事実、ケイマンはオープンモデルのボクスターよりボディ剛性が高く、軽量で、より高出力なエンジンを搭載していた。オープンエアモータリングを楽しむならボクスター、よりアグレッシブな走りを楽しむならケイマン、そしてその先には911がある……そんな筋書きだったのである。加えて、ミッドシップというレイアウトが生みだすフットワークは、RRの911を凌ぐものだった。
そういった特徴は現行ケイマンにも100%受け継がれている。ケイマンは275ps、ボクスターは265ps(Sは325ps/315ps)、ボディのねじり剛性はボクスターの2倍で911をも凌駕、重量はマイナス50kg。このスペックを見ただけでも、ケイマンがいかに走りを重視したモデルであるかが想像できるだろう。とくに911がより高性能GTカー的性格を強めてきていることを考えると、リアルスポーツ、あるいはピュアスポーツとしてのケイマンの存在感はさらに高まってきている。
とはいえ、嬉しいことに当初大きかったボクスターとの価格差はかなり小さくなってきていて、現行モデルでは16万円しか違わない。ベースグレードで600万円するクルマにとって16万円は誤差のようなものだ。
となると迷うのが、ケイマンかボクスターかという点だ。スターティングプライスが1115万円の911と迷うのは現実的ではないけれど、ケイマンとボクスターとなると別。どちらかの購入を真剣に考え始めたら、仕事が手に付かないほど迷わせてくれること請け合いだ。次のページでは、そんな幸せな悩みを抱えている人へのアドバイスをしてみたい。
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