ランドクルーザー300オフロード試乗 世界初採用の「E-KDSS」を全グレードに設定してほしい
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一、トヨタ自動車 107
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一、トヨタ自動車 107
朝から夕方までランクルを悪路で堪能した。わかったことは、オフロードではガソリンとディーゼルで頼もしさ、運転しやすさに大きな違いはない。ガソリン(最高出力415ps、最大トルク650Nm)もディーゼル(同309ps、同700Nm)も、スペック通り途方もない力強さを見せる。そのクルマに副変速機が付き、実質的なトルクを約2.6倍に高められるわけだから、パワー不足で走破できない状況は考えにくい。
それよりもオフロードで違いを見せるのは、GRスポーツかそれ以外か。GRには「E-KDSS」という電子制御で前後のスタビライザーの効果をオン/オフする機能が備わる。これがあるとないとでは悪路走破時の車体の安定度がまるで異なる。GR以外だとどこかの車輪が浮くような状況でも、GRなら四輪が接地した状態を保てる。
GR以外でも今回のモーグル路を走破することができたが、車体は激しく揺れ、乗員の快適性には大きな差が出た。わざわざ悪路へ足を踏み入れておいて快適性を求めるのはおかしいと思うかもしれないが、長時間身体を揺られ続けると操作ミスのリスクが増える。疲労が増して判断ミスのリスクも増える。オフロードの快適性は安全性にもつながるのだ。
E-KDSSの有無はオンロードでの挙動にも大きな違いを生む。GR以外のランクルは、街なかでの走行でも高速走行でも常に車体が細かく揺れる。これはラダーフレームとリア車軸式の構造である以上、完全には避けられない。モノコックと四輪独立懸架のサスのクルマのほうが快適だ。それがE-KDSSがあれば、直進時はスタビライザーをフリーとし、ステアリングを切ると瞬時にロックさせるなど、細かくコントロールすることで、ゆらゆらをかなり低減してくれる。E-KDSSを全車に標準装備、もしくはオプション設定すべきだ。
結論。悪路走破性においてもランクル300は14年ぶりのフルモデルチェンジにふさわしい進化を遂げた。フロント53.5%、リア46.5%と優れた前後重量配分や従来型に対する低重心化と軽量化(約190kg)といった、フルモデルチェンジでしかなし得ない根本部分の進化によって、悪路での快適性や利便性を含むケイパビリティ(能力)は歴代ランクルにおいてダントツナンバー1だ。大昔のは乗ってないけど。
※写真は試乗日とは別日に撮影したものです
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