ポルシェ新時代のライトサイジングターボに6台連続試乗【前編】
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:小林 俊樹
そこでまずはオレンジ色の718ボクスターSのコクピットに収まる。これまでのボクスター/ケイマンが水平対向6気筒、つまりフラット6エンジンを積んでいたのに対して、新しい718シリーズは水平対向4気筒をターボで過給した、“ライトサイジング”なフラット4ターボを搭載している。
ちなみに「718」とは、有名な550スパイダーの発展型として1950年代末から60年代初頭にかけてレースで活躍した、4気筒ミドエンジンのレーシングモデルの名称で、4気筒のボクスターはそこから名前をいただいた、というわけだ。
その排気量は、素のボクスターが2リッター、ボクスターSが2.5リッターで、パワーとトルクは前者が300psと380Nmを、後者が350psと420Nmを発生する。6気筒時代のモデルはボクスターが2.7リッターで265psと280Nm、Sが3.4リッターで315psと360Nmだったから、いずれも前モデルを大幅に凌いでいるわけだ。
ただし、ちょっと腑に落ちないのはその車重で、718ボクスターが6段MT仕様で1360kg、7段PDKで1390kg、ボクスターSは同じく1380kg/1410kgと、シリンダー数と排気量が減ったにもかかわらず、6気筒時代より10~20kgずつ重くなっている。ターボその他の補器類が重いということか?
それはさておき、718ボクスターSのPDKでコースインすると、2.5リッターのフラット4ターボが、その気筒数と排気量のイメージから想像するよりずっとパワフルなことを実感する。あの広いFSWのコース上で、車重1410kg+のボディを力強く加速させていくのだ。これなら公道では、まったく充分な動力性能だろうと容易に想像できる。しかもこのフラット4ターボ、ほとんどNAエンジンのように自然で軽快な反応を示すのも素晴らしい。
実は当方、FSWフルコースを走るのはちょうど1年ぶりで、ボクスターSによる最初の試乗時にはコースの感触を思い出すことに神経の多くを使っていたが、それでもシャシーの能力に関しては、ステアリング操作に対する反応が正確なこと、それに200km/hオーバーの速度域に至ってもまっすぐ走るスタビリティの高さは、確実に実感できた。
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