最新のフェラーリ「296スペチアーレ」は60年前の名車をオマージュ？ 往年の名作「ディーノ206／246」に思いを馳せる

フェラーリ ディーノ

「ディーノ206／246」はフェラーリの魅力を凝縮した逸品

エンジン以上に感銘を受けたのはハンドリングだ。ディーノのステアリングはフェラーリ初のラック＆ピニオン機構を持つ。シャープで、しかもしっかりとした味わいが魅力的だ。たいていのコーナーは、ステアリングを切るというより手首を返す程度でクリアしていく。

ミッドシップレイアウトの理想的な前後重量バランスがもたらす素晴らしいハンドリングは、ディーノがレーシングカー直系であることを実感させる大きな要素となっている。

フロントウィンドウ越しに見えるフェンダーの峰を目印に、ワインディングを駆ける時間は、ドライバーにとって最上のひとときだ。ステアリングには当然パワーアシストは付いていないが適度な操舵力で、路面状況もリアルに伝える。

4輪ダブルウィッシュボーン式の足回りのロードホールディング性能も秀逸だ。しかもサーボ付きの4輪ベンチレーテッドディスクブレーキがいい仕事をする。最新のクルマと比較すると強めの踏力を要求するが、踏めば踏んだだけスピードを削り取るスポーツカーにふさわしいブレーキである。

ディーノ206／246は、まさにフェラーリの魅力を凝縮した逸品である。眺めてよし、走ってよし、そしてヒストリーを調べてよし、という心躍る1台である。

ちなみにディーノは、206GTが150台、246は固定ルーフ仕様のGTが2732台、デタッチャブル式ルーフ仕様のGTSが1180台生産されている。

（終わり）