マツダ「MX-30」試乗 EVではなくまさかのマイルドハイブリッドだったがこれはこれであり
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:望月 浩彦 136
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:望月 浩彦 136
観音開きはロールスロイスのようにBピラーが固定されているわけではなく、ピラーがリアドアに組み込まれて一緒に動くため、リアのみ開閉することはできない。前席に人がいない状態で後席の乗員が車外へ出るのはひと苦労だ。
後席はプラス2というには広く、フル4シーターというには狭い。試していないが大人3人掛けは辛いはず。標準的背丈の小学生ふたりなら長時間過ごせるだろう。リアドアのウインドウははめ殺し。ラゲッジスペースはクーペルックから想像する通りの容量にとどまるが、凹凸が少ないので使いやすいと思われる。
試乗したのはFWDモデル。2リッター自然吸気エンジン(最高出力156ps、最大トルク199Nm)に、24ボルトの電源システムで作動するモーターが組み合わせられ、従来からある6速ATが備わる。過給器付きエンジンやモーター駆動のクルマに慣れた身に、4気筒自然吸気エンジンは物足りないだろうと想像していたが、思ったほどスカスカではなかった。
発進時には強く速くアクセルペダルを踏み込んでもマイルドなダッシュにとどまる。ただある程度速度が上がると、ペダル操作に対する反応が良くなり、気持ちの良い加速を見せる。速いとか力強いという印象のものではないが、スーッと伸びやかに加速するのが心地よい。
エンジニアいわく、発進時の躍度をあえて抑え気味にしているそうだ。いろいろと丁寧に説明を受けたその理由を自分なりに解釈すると、MX-30は従来のマツダ車ほど運転という行為そのものを楽しむタイプのクルマではなく、パワートレーンなどの存在を意識することなく心地よく移動するためのクルマだから、ということになる。標準的な踏み方をした際の躍度の出方を、追って発売されるEVやRE付きEVでもそろえてあるとか。
サウンドチューニングもうまくいっていて、自然吸気エンジンのよさを再確認した。ターボに乗れば力強さが気持ち良いといい、NAに乗ればスムーズに回るのが気持ち良いという。我ながら一貫性がないと思うが、嘘をついているわけではなくて、別のよさがある。言い換えれば、過給器付きにも自然吸気にもよいエンジンとダメなエンジンがあるということだろう。
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