トヨタ新ブランド「GR」。ヴィッツGRMNほか注目モデルの走りを一気に試した

左：ヴォクシー GR スポーツ、右：ノア GR スポーツ

ノア／ヴォクシー、プリウスPHVも印象に残った

GR SPORTについてはとてもすべての車種には触れられないが、中でも強く印象に残ったモデルを紹介しておく。「ノア／ヴォクシー」、そして「プリウスPHV」である。

ノーマルのノア／ヴォクシーは、先日のマイナーチェンジで乗り心地を改善した代償で、ステアリングの手応えが頼りなく、姿勢もフラフラするようになってしまった。しかしながら「ノア GR SPORT」は、意外にも乗り心地は更にしなやかで、それなのに路面にピタッと吸い付くような安心感があり、直進性も良く、コーナリングやブレーキングでも不安になるような動きが一切出なくなっている。

聞けば、ポイントはアンダーフロアの空力と電動パワーステアリング（EPS）の制御の変更とのこと。先代G'sに対して床下の流速を高めることによって、空力的にリアの浮き上がりを抑えたことで、リアサスペンションをソフト化できたという。一方でフロントはより硬めに振って、操舵応答を高めたのだそうだ。

安っぽい言い方をすれば、まるで欧州製のミニバンのような走りができるように進化している。GR SPORTという間口の広いモデルで、ここまで走りの差が出ていることは、ちょっとした驚きだった。

「プリウスPHV GR SPORT」は、ノーマルとはタイヤのグリップレベル、剛性感がまるで異なり、それだけでもしっかりとした感触を味わえるのだが、専用のボディとシャシーはそのポテンシャルを活かしきり、望めば軽いオーバーステアくらいまで許容するぐらいの、とてもコントローラブルな走りを可能にしている。そこでのVSCの介入が強めで、しかも解除ができないのが惜しいところではあるが、ワインディングロードでも楽しめるプリウスPHVの登場は朗報と言えるだろう。