マセラティ ギブリ海外試乗。ベストモデルは?
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:マセラティ
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:マセラティ
イタリア半島の中ほど、風光明美な丘陵地帯が連なるトスカーナを舞台にした国際試乗会では、まずは標準的な後輪駆動のギブリに乗り込んだ。ダッシュボードもクアトロポルテとはまったく異なるデザインが施されたインテリアは、華やかさのなかに適度にカジュアルかつスポーティな雰囲気を持つのに加えて、低い着座位置を得られるドライバーズシートが、豪華なだけの大型サルーンとは異なる種類のクルマであることを暗示する。
スターターボタンを押して3リッターV6を目覚めさせ、今風な形状のギアセレクターをDレンジに入れてスロットルを軽く踏み込むと、ギブリは低く唸りながら走り出した。ZF8段ATはスムーズに変速してスピードを上げていくが、1810kgの車重を0-100km/hを5.6秒で加速させ、最高速263km/hに達するというクルマだから、暴力的なほど速いわけではないけれど、踏めばエンジンの快音をキャビンに伝えながら活発に加速していく。
電子制御ダンパーを標準で備えるサスペンションは、コンフォートとスポーツを切り替え可能だが、まずは前者を味わってみると、街中の低速ではちょうどいいものの、郊外に出てスピードを上げるとちょっと柔らかすぎる気がする。そこでスポーツを選ぶと、舗装の継ぎ目を越えるようなときには19インチのダンロップスポーツMAXXからそれなりに硬いショックが伝わってくるが、路面が良好であれば決して硬すぎる印象はない。
ならばハンドリングはどうかというと、これが期待を裏切らぬ出来だった。ステアリングは軽めだが路面の感触を不足なく伝え、レスポンスも適度にクイックだから、スロットルを抜きつつそれを切り込むとノーズが気持ちよく内側に入っていくし、コーナリング中の軌跡もスロットルのオンオフで自在にコントロールできる。つまりギブリ、信頼感のあるロードホールディングと自由度の高いコントロール性を備えた、腕の立つ飛ばし屋を満足させるに足りる、スポーツサルーンらしいコーナリング能力を備えていると思った。
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