次期GRヤリスはボディ剛性が段違い!? S耐鈴鹿で披露された「工期1ヶ月→3日」に短縮する新溶接が凄い
掲載 carview! 文:編集部/写真:トヨタ、編集部 5
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ことの発端はラリーマシンの安定供給、もっと言うとレースをサスティナブルにするのが目的だが、SFAが思わぬ副産物をもたらした。従来と比べ溶接の強度アップ(10~25%)と軽量化(ビード部分で約25%)を同時に実現したという。
川喜田氏によると、レースの世界では「〇〇さんの制作したボディじゃないとダメ」という話があるくらい職人の技によってボディ強度に差があり、それがレースでの競争力に繋がってくるそうだ。
今回のS耐鈴鹿では#32号車「ORC ROOKIE GR Yaris DAT concept」にSFAによる新造ボディを投入しており、モリゾウこと豊田章男会長らプロの手により実戦で評価が行われている。
ボディにはロールケージのほかにも様々な箇所にSFAによるアーク溶接が打ち込まれており「前のクルマとは全く違うと言っていいほどボディ剛性が格段に違う(GAZOO Racing Company 高橋智也プレジデント)」そうだ。その変化は凄まじく、今回のレースでは足回りのセッティングを詰めきれないほど大きいという。
またSFAを使うと、スポット溶接のようなショット溶接が可能となり、2~3mmの隙間があっても溶接ができるなど新たな可能性も見つかったといい、そのほかブリッジ溶接やエッジ溶接などの応用も可能だという。
「副産物として色々なところに応用ができるというのが順々に見えてきた。金属接合の新しいやり方ができたと思っている(川喜田氏)」
1/10のスピードながら、数点打つだけでも大きな効果があるスポット溶接だけに「市販車にも十分生かせる技術だと思っている(高橋プレジデント)」という。次期GRヤリス(や他のGRモデル)のボディは、SFAを使い数段剛性がアップした全く新しいボディになるかもしれない。
川喜田氏は「(副産物は)完全にラッキーパンチ」と謙遜したが、今回の新しい工法はレース現場での地道なカイゼンが会社の力の源泉となっている事例だ。恐らくトヨタには、まだ世に出ていない新技術の芽が至る所にあるのだろう。
また今回別で、レースの現場における若手の人材育成の話もあった。本稿では詳細を割愛するが、トヨタはレースの現場で、会社経営の3要素であるヒト・モノ・カネのうち、ヒトとモノを鍛えているのである。
レースを豊田氏の道楽と揶揄する人間もいまだにいるようだが、レースを単なるマーケティングだけでなく会社経営にまで活かすメソッドを確立したことこそ、日本の上場企業として初の5兆円という利益を上げるトヨタの力の一端なのかもしれない。
(終わり)
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