自動車業界の興味深い一面を見る
釜山国際モーターショーという名前を聞いたことがない人も多いかもしれないが、自動車業界の奇抜な一面を発見できる場所であることは確かだ。主要6メーカーが参加する小さなイベントだが、犬を乗せるためのヒョンデ・キャスパーから移動図書館となったキア・レイまで、韓国の自動車市場を見る上で実に興味深い展示となっている。
【画像】徐々に頭角を表してきた韓国車ブランド【ヒョンデ、キア、ジェネシスの最新モデルを写真で見る】 全107枚
釜山国際モーターショーは、韓国南部の釜山(プサン)で2001年から2年おきに開催されている国際モーターショー。前回の2020年は新型コロナウィルスの影響で中止され、今回は4年ぶりの開催となった。7月15日から24日まで、展示コンベンションセンターBEXCOで行われている。
見過ごされがちな韓国車について、会場を歩きながら紹介しよう。
ヒョンデ・キャスパー
ヒョンデ(現代自動車)のブースには、欧州ですら手に入らない珍しいモデルもあった。ヒョンデi10と部品の多くを共有する、小さなキャスパーだ。釜山では、犬を乗せるための小さなバンとして紹介されていたが(セントバーナードは乗れないかもしれないが)、通常は4人乗りである。
1.0Lガソリンエンジンと4速トルコン式ATを搭載するが、やがて環境規制の厳しい欧州向けにEV仕様も登場するだろう。韓国の「軽車」、つまり日本の軽自動車規格に相当する安くてかわいいコンパクトカーだが、日本でお目にかかる日は来ないかもしれない。
ヒョンデ・スターリア
2021年に登場したばかりの新型スターリアだが、かなり未来的なクルマに見える。今回は折りたたみテーブル、キャプテンチェア、後部座席用のワイドスクリーンディスプレイを備えたエグゼクティブ仕様が展示されている。
一見、EVのような雰囲気もあるミニバンだが、搭載されているのは3.5L V6ガソリンエンジンだ。2.2L直4ディーゼルもある。韓国やオセアニア地域のほか、欧州の一部地域でも販売されており、フォルクスワーゲン・マルチバンのライバルとなっている。
ヒョンデの水素トラック
釜山国際モーターショーにおける主要メーカーの出展は、ヒョンデ、キア、ジェネシスといった韓国ブランドのほか、少し意外なことにBMWグループの存在もあった。しかし、ヒョンデがショーの主役であることは明らかで、新型EVのアイオニック6を一般公開するなど、華やかにステージを飾っている。しかし、展示されていたのはそれだけではない。
ヒョンデは乗用車だけでなく、ありとあらゆる自動車を作っている。その中には、大型トラックやバスもある。釜山では、それら大型商用車の水素燃料電池仕様を展示していた。
この大型トラック「エクシエント(Xcient)」は、欧州でも発売される計画だ。航続距離は約400kmで、水素の充填にかかる時間は8分から20分程度とされている。
韓国ではクラシックカー
ソウルや釜山の街角を歩くと、古いクルマがとても少ないことに驚かされる。低公害地域の影響もあるが、かつて韓国は輸入関税や規制が厳しく、欧州や米国の名車が輸入されることはなかったからだ。
それに、昔の韓国車はあまり良いものではなかったので、たとえ古いクルマであってもノスタルジーはほとんどない。欧米や日本と比べても、クラシックカーの文化はあまり根付いていないのだ。
今回の展示車両は、キム・ジュヨン氏の所有物だ。彼は、インジェ・スピーディウム・クラシックカー・ミュージアムで、韓国人にクラシックカーについて教える立場にある。
ディペコ・ポトロ
主要自動車メーカーの参加は6社のみだが、自動車関連企業の出展は少なくない。それにしても、この幸せそうな顔。モーターショーといえば「モビリティ・ソリューション」のお披露目の舞台だが、小規模メーカーの存在感はとても小さかったと言わざるを得ない。
ディペコ(Dpeco)は比較的小さなメーカーで、バスからこの小型バンまで、さまざまな商用車を作っている。ポトロは、最高出力20psの電気モーターと15.7kWhのバッテリーを搭載し、最高速度70km/h、航続距離約100kmを実現している。
基本価格は2068万ウォン(約218万円)と、三菱のミニキャブ・ミーブ(税込み243万円から)に近い。狭い街中では、ちょうどいい仕事道具になるかもしれない。
オフロード車
ジェネシスとキアのブースを訪ねる前に、オフロード・モーターズを訪ねてみよう。韓国の道路はしっかり舗装されているが、韓国人はリフトアップしたオフロードカーに目がない。街中でもジープ・ラングラーをよく見かけるが、そのほとんどは何らかの改造が施されている。
特に、リフトアップキットや社外ホイールの装着率が高い。グレーのヒョンデやキアが多い中では、非常によく目立つ。ジープが一番多いのだが、トレーラーテントを付けたサンヨン・ムッソや、新型フォード・ブロンコも展示されていた。
ジェネシス
ジェネシスは、ヒョンデの高級車部門にあたるブランドとして欧米での知名度新を高めつつあるが、本国では以前から人気を博していた。トヨタにおけるレクサス的な立ち位置、といえばわかりやすいだろう。今回のショーでは新型車の発表こそなかったものの、G80やエレクトリファイドGV70といった、欧州導入を間近に控えたモデルを見ることができた。
最高級セダンのG90の欧州導入予定はないが、そのスタイリングはかなり攻めている。メルセデス・ベンツSクラスやBMW 7シリーズ、アウディA8など、保守的な傾向が強いセグメントではあるため、販売台数を競うことはできないだろうが、レクサスLSの良きライバルとなるかもしれない。
G90による空港までの送迎を経験した取材班は、最新のドイツ車ほど派手なガジェットはなく、乗り心地ももう少し修正が必要だが、車内の仕上がりは心地よく、かなり快適な移動だったと評価している。
キア・レイ
キアは、環境への取り組みについて大々的に記者会見を開き、同社のデザイン部門トップであるカリム・ハビブ氏も召喚して、新型セルトス(小型SUV)やEV9コンセプトについて語った。だが正直なところ、取材班はキア・レイの方に興味を惹かれた。レイは、ヒョンデ・キャスパーの兄弟車である。
キア・レイ(RAY)は、韓国では軽車規格にあたる。日本の軽自動車規格との違いは、エンジン排気量が660cc以下ではなく1000cc以下であること、車体サイズが若干大きいことなどがある。
レイのデザインは「トールワゴン」と言えるもので、そのコンセプトはダイハツ・タントに近い。展示車はEV(なぜか移動図書館)だが、1.0Lの直列3気筒と4速ATを搭載したモデルもある。最大の特徴は、リアのスライドドアだ。しかもピラーレス。
レストモッド車両
韓国のレストモッドといえばロードスタッフ(Roadstaff)社。比較的マイルドな改造のポルシェが多い中、マンソリーが考えそうな派手なワイドボディのフェラーリも展示されていた。
興味深いのは、すべてのポルシェにティプトロニック・オートマチック・トランスミッションを搭載していること。韓国では、マニュアル・トランスミッションはあまり普及していない。
実際、マニュアル車は1台か2台しか見かけなかった。日中の渋滞を考えると、釜山をヒール&トゥで走りたくないという人の気持ちもわからなくはない。
BMWとミニ
BMWグループは、釜山国際モーターショーに参加した唯一の国外メーカーで、BMW、ミニ、ロールス・ロイスの独立ブースを構えている。新型BMW 7シリーズと2シリーズ・アクティブツアラー、そして最新のミニJCWの韓国デビューのために記者会見を開いたが、国際的なニュースはなかった。
BMWが人気の韓国
国外メーカーの出展がBMWだけというのは奇妙な話かもしれないが、韓国で最も一般的な国外ブランドはBMWであり、ミニもかなりの数が街中で見受けられた。その他、メルセデス、アウディ、ランドローバー、フォルクスワーゲンも見かけた。
ルノーはサムスンとして販売されており(今年3月にルノー・コリアに社名変更)、プジョーは1台見かけただけ。フィアットやオペルなどは全く見かけない。ホンダと日産は比較的存在感を示しているが、それでもかなり稀だ。
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