M6グランクーペ、Mでしか味わえない恍惚…
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之
M6のベースになったのは6シリーズ・グランクーペだ。ネーミングに「クーペ」という言葉が入っていることからもわかるように、低いルーフとクーペのような美しいルーフラインが持ち味。それでいてドアは4枚あり、広い後席や実用的なラゲッジスペースも備える。クーペとセダンのいいとこ取りと言っていいだろう。
M6グランクーペは、4枚ドアをもつクルマとしては異例のエレガントさをもつ6シリーズ・グランクーペの長所をそのままに、冷却効率と空力性能を考慮に入れたフロントグリル、フロント265/35R20、リア295/30R20というファットなタイヤ、4本出しの丸形テールパイプなどがMモデルらしいスパイスを効かせている。
なかでも注目したいのが凹状になったカーボンルーフだ。ノーマルのサンルーフ車に対し重量はマイナス23kg。言うまでもなく、ルーフはもっとも高い位置にあるパーツであり、低重心化に及ぼす影響は大きい。
試乗車には116万円のオプションである「Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システム」が装着されていた。サーキット走行でも音をあげないパフォーマンスもさることながら、文句なしにカッコいいホイールの隙間から見えるキャリパーとディスクの異様なまでの存在感にはシビれた。
もちろん、空力パーツもカーボンルーフもブレーキシステムも、走りという唯一にして究極の目的のために採用された機能パーツであり、決してファッションアイテムではない。しかし見る人が見れば、それらはM6グランクーペが内包するパフォーマンス、走りへのこだわりを暗示するものになる。ドアを開け、走り出す前から、M6グランクーペは明確な言葉で「特別な存在」であることを語り始めるのである。
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