メルセデスの最高級EV「EQS SUV」はベースグレードでも超快適だが、巨艦モデルならではの要改善点も発見
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 19
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 19
メルセデス・ベンツのハイエンドBEVセダン「EQS」にSUVのバリエーション「EQS SUV」が追加された。プラットフォームは両モデル共に同じEVA-IIで、ホイールベースも3210mmと共通であるが、高さが20cm増し、そのままルーフが後方にまで伸びた結果、全長はセダンよりも短いにも関わらず3列目に大人2人分のシートを用意することができた。トランク容量も645~2100L(EQS:610~1770L)と大きくなっている。
試乗会の開催されたデンバーの市街地に現れたEQS SUVの最初の印象はEQSセダンを風船のように膨らませた感じだ。もちろんサイドステップなどでセダンと区別はできる。しかしできればフロントのブラックパネルのデザインをちょっとオフロード、例えばアンダーガード風のバンパーを与えて少し武骨にするような工夫が欲しかった。
同時にハイパースクリーンが目前に広がるインテリアもセダンと全く同じなのは、およそ4200ユーロ(約60万円)の差額を払ったオーナーにとっては納得がゆかないかもしれない。
>>メルセデス・ベンツ EQSのカタロググレードをチェックする
最初に試乗したのはベーシックグレードの「450+」(後輪駆動モデル)で、リアアクスルには360psと568Nmを発生する電動モーターが組み込まれている。搭載されるバッテリーの容量は108.4kWh、航続距離はWLTPで540~671kmと発表されている。
EQSでおなじみのキャビンは各部の素材と仕上げ感は素晴らしく、ハイエンドBEVに相応しい豪華でクリーンな雰囲気に包まれる。2列目のシートは3人掛けだが、両脇のシートはフルアジャスタブル(オプション)だ。ルーミーな室内はパノラマルーフでさらに明るく広く感じる。3列目のシートは小柄な私であれば十分な余裕があって閉塞感もない。
スタートの儀式はメルセデス・ベンツの他のモデルに共通のプラスティックのコラムレバーでDを選択する。現在、ハイエンド・モデルで流行しているクリスタルセレクターはマイバッハまでお預けのようだ。
>>メルセデス・ベンツ EQSのカタロググレードをチェックする
まずはデンバー市街地を抜けるが、セダンよりも80mm高いドライビングポジションと見切りの良いボディのおかげで混雑した市内でもスムーズに抜けることができた。郊外に続くハイウェイに出る。コロラド州の法定制限速度は75マイル(約120km/h)と他の州に比べると高く、交通の流れは速い。
それでも0-100km/hを6.7秒、最高速度210km/hのダイナミック性能をもつEQS SUV450+はハイウェイパトロールに注意しながら交通の流れをリードして行く。高速度域のレーンチェンジも後輪ステアによって安定した姿勢でこなしてゆく。さらにエアサスのおかげで乗り心地は素晴らしく、精緻なACC(アダプティブクルーズコントロール)のおかげもあって長距離ドライブにも最適なクルーザーとなる。
>>メルセデス・ベンツ EQSのカタロググレードをチェックする
やがてかなりきついカーブや急な勾配が続く山間部へ入って行く。ここでもEQS SUV450+は十分なパワーと正確で切れの良いステアリングフィールで2メートル近い車幅にも関わらずスポーティなハンドリングを楽しむことができた。
ところが下り坂になって、スピードを上げてゆくとブレーキ性能に不満がでてくる。通常の運転ではそこまでには至らないが、かなりペダルを踏み込まないと望むような制動力が立ち上がらないのだ。それにしても、メルセデス・ベンツがこの難コースを設定したのは余程自身があるのだろう。
>>メルセデス・ベンツ EQSのカタロググレードをチェックする
翌日試乗したのはトップモデル「EQS 580 4マチック」である。前後に搭載された2基のモーターによるシステム最高出力は544ps、最大トルクは858Nmを発生する。
その結果0-100km/hの加速所要時間は4.6秒と俊足、最高速度は210km/hと変わらないが、バッテリーが450+と同じ108.4kWhなので航続距離は511~609kmへと若干短くなる。
450+よりも115kg重いにも関わらず、ハイウェイの入り口で見せた加速性能は驚くばかりで、周囲のクルマがまるで止まっているような勢いで後方へ消えて行く。スピードメーターはあっという間に法定速度75マイル(約120km/h)を超える勢いで、思わず周囲にハイウェイパトロールの姿がないか見回してしまった。
すぐに走行車線に戻って今度はその重さがもたらす快適性を楽しむ。450+で感じたちょっと頼りなかったブレーキ・フィールは580では気にならなかった。おそらく100kWも差のある回生性能にも一因があるのだろう
驚くべきオフロード踏破性能驚いたのはこの「EQS 580 4マチック」でオフロードコースを試乗したときである。周囲を見回した感じではふつうのSUV でも不可能と思われるような急こう配、深い穴、傾斜なども、オフロードモードを選択、20mm車高を上げただけでイージーに通過することができたのだ。
また、正面の車体下部を透過したように映し出すカメラは、高く大きなボンネットで遮られた車両直前の様子を手に取るように映し出してくれるので不安なく前進できる。
EQS SUVシリーズはサウスキャロライナ州タスカルーサ工場で生産され、12月からドイツで発売される。試乗した450+のベーシック価格は11万658ユーロ(約1600万円)からと発表されている。
>>メルセデス・ベンツ EQSのカタロググレードをチェックする
>>ランドローバー レンジローバーのカタロググレードをチェックする
>>BMW X7のカタロググレードをチェックする
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
マジかタイヤがパンク!!! 1本交換するだけでいいのか? それとも2本? 全交換? その分かれ目はどう判断すればいいの?
今乗ってる人はこれからも大事に!! 10年前の[クルマ]で誇らしい日本車
新しくなくたって楽しめる!! [先代のほうが買いかも……]なクルマ4選
本当なら大歓迎!! トヨタ[ハイラックスチャンプ]の日本導入来るか
辛口モータージャーナリストが、新型「アルカナ」を試す! ルノーが日産とは別に開発したハイブリッド「E-TECH」の実力を長距離試乗でレポートします
ロバンペラが復調のシェイクダウン首位。インタビューで各選手無言、不適切発言への罰金に抗議/第3戦ケニア
Da-iCE花村想太×ハーレーダビッドソン──Vol.3 ナイトスタースペシャル
ZIPAIR、新型ボーイング787-9導入へ JAL機材を改修 2倍以上の事業規模拡大めざす
フェラーリ・ローマへ試乗 金管楽器のようにシンフォニック 待ち望まれたグランドツアラー
ロールス・ロイス初のチーフテスター「エリック・プラットフォード」はどんな人物? 大西洋横断初飛行にも貢献した陰の立役者を紹介します
自走式バスの始まり 「馬車」とどっちが優秀? 130年前のニュース振り返り 歴史アーカイブ
国産2階建てバス「完全引退」します! 最後に“貸切どうぞ”その後は? JR東海バス
【かわいくて頼もしい】フィアット初のMHEVモデル「600ハイブリッド」が今年6月に日本発売、燃費23km/Lと経済性もまずまず!
「日本はもっと車を買え!」ドル=120円も見えてきたトランプの“ドル安砲”でアメ車は売れるか?
【また買えないじゃん!】即売り切れの「GRカローラ」に不満続出…なぜ何度も受注停止に追い込まれるのか?
【300万円前後?】次の目玉「N-ONE e:」が“買い”なワケ。ホンダの“エンジンやめます宣言”は継続中
【日本の誇り】スズキは12カ国で4輪シェアNo.1。トヨタとも違う、小さな巨人が世界の“ニッチ”で愛され続ける理由がスゴイ
アウディ新型「A6アバント」が世界初公開。デザインも走行性もファーストクラスで日本上陸が待たれるも、内燃機関モデルなのに“A6”の謎
【いよいよ今週末に開幕!】人気急上昇中の耐久レース「S耐」の魅力とは? 一味違った楽しみ方も解説
【鳴らさないで来てほしい?】いえいえ、サイレンの使用は法律で決まっています。音量調整機能の導入も進む
【間もなく発売】レクサス「GX」に“一足早く”試乗。総合力は「LX」以上…懸念はやはり供給体制
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!