レクサスSC×岡崎五朗 信じがたい洗練ぶり!
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
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サスペンションまわりにも若干の見直しがかかっているとのことだが、乗り味の改善につながった最大の要因はタイヤだという。SCはパンクしても走行可能なランフラットタイヤをオプションで選択できる。しかし、ひと昔前のランフラットタイヤは、サイドウォール部をゴムで補強している分硬くなり、バネ下重量も増えるため乗り心地をスポイルする傾向があり、それがSCの乗り心地に悪さをしていたのだ。かといって、標準タイヤを選択するとスペアタイヤが必須になり、オープンにしたときのトランク積載量はほとんどゼロに近くなる。そんなわけで、多くのユーザーはランフラットタイヤを選択していたし、われわれに貸し出される試乗車もランフラット仕様車がメインだった。ランフラットタイヤにすればオープン時でゴルフバッグ1個、クローズド時で2個の収納が可能になる。
今回試乗したのもランフラット仕様だったのだが、最近はランフラットタイヤの性能が急速に向上し、標準タイヤにかなり近いレベルの乗り心地を確保できるようになったのだという。つまり、SCはランフラットタイヤ技術の進歩によって生き返ったのである。
最大の弱点だった乗り心地が改善されたとなれば、目立つのは長所ばかり。SCは走り出した瞬間から「仰せのままに」という感じで素直で快適な走りを演じてくれる。スポーツカーとして評価すれば、インフォメーションの希薄なステアリングフィールや、ひたすら静かで刺激性に欠けるエンジンは物足りないということになる。しかしSCは贅沢な大人のクーペであって、スポーツカーではない。ドライビングに没頭して自分だけの世界に入り込んでいくのではなく、上質なオーディオから流れてくるサウンドを聴きながら、あるいは同乗者との会話を楽しみながら、スマートに乗りこなす…そういう観点から評価すると、オープンカーとしては超一級品の静粛性、ウルトラスムースな4.3リッターV8、ショックのない上品な躾の6速ATは大きな魅力となる。次の章では、GSやIS、そしてフラッグシップのLSをさしおき、僕がSCをベスト・オブ・レクサスと感じた理由を書いていこう。
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