河口まなぶカレラ4試乗 ポルシェは何が凄いか?
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:ポルシェジャパン
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:ポルシェジャパン
まずインストラクターと我々ジャーナリストが1人ずつそれに乗ってスタート地点へと行く。そしてブレーキを踏んだままアクセルを全開に。すると新直噴フラット6のDFIエンジンは6200回転をキープ。その後ブレーキを離すと911は最大のトラクションを得て一気に加速し始める。
興味深いのはタイヤがほとんどスキールを発さずに、割にスーッと発進すること。つまり予想以上にスタートに派手さはない。さらに助手席のインストラクターは、そのままアクセルを全開にして250km/hまで加速して、と指示を出す。場所は元空軍の滑走路だから目の前には果てしなく直線が続く。210、220、230…すると遥か前方にパイロンが見えてくる。インストラクターから、あのパイロンの横でフルブレーキング、と指示が出た。
で、250km/hからフルブレーキング。するとRRらしく911は車体全体が沈み込むように極めて高い安定性を保ちつつ速度を削り取り、少しスモークを上げながらピタリと止まった。ちなみに250km/hからのフルブレーキングでこれほどリアがしっかりしているクルマは他に皆無だ。
そう、実はPDKのローンチコントロールを体験するだけでなく0→250→0km/hを行うことで911の確かな安定性をも体験する場でもあったわけだ。しかも! である。この過酷なテスト、全て同じクルマを用い5回連続で行われたのである。日本のメーカーの場合、こういうテストはまずさせないし、やって良いかと聞いても遠慮して欲しいと言われる。幸運にもテストできたとしても専用のクルマで1回、というのが通常の世界だろう。しかしポルシェのインストラクターは何食わぬ顔で、はい次の方、といった具合なのだ。
さらにここで使われたクルマは、そのまま次のロングサーキットでもそのまま使われ、先導付きとはいえかなりのハイペースでの5~6周を2セット行う内容を見事にこなした。
で、極めつけはテスト終了後、じゃあ試乗車でホテルまで試乗がてらお帰りください、と。もちろんその距離だって、決して近いわけじゃないのに…凄過ぎるではないか!
ダメ押しするなら、こうした試乗会は通常2週間~1ヶ月といった長さで開催される。もちろんクルマは毎日メンテされるが、それにしてもこの過酷さを平然とこなすのだから驚いた。しかもこの日の終わりに聞いたのはこのローンチコントロール、4000回も使える耐久性があるのだという。1日1回使っても実に11年以上! 同様の機能を備える他車では使用制限もあるはず…そんなわけで僕は、ポルシェと911に相当に心酔したのだ。
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