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ポルシェが1台だけ作ったボクスターベースの軽量ヒルクライムレーサーの独占ウラ話

“軽量化”を追求して生まれた過去と現代2台のベルクスパイダー

しかし909で最も大きな驚きはブレーキローターとゴム製のガソリンタンクであった。ベリリウムのローターは非常に軽く、同時に硬いが、問題は粉塵が高い毒性を持っていることであった。そこでメッキが必要となったが、「この特殊な材料は異常に高価で、クルマ1台分より高かった。そんなわけで2台のクルマに対して5枚のローターしか作ることができなかった。だからタイムの良いドライバーを優先することにしました」と記憶を辿りながら語った。

さらに二番目の技術的ハイライトは14リッターのボール型燃料タンクで、中にはサッカーボールのようなゴム袋が入っており、それは10バールの圧力が掛かっている。これが燃料を送り込むパワー(圧力)になるのだ。何でこんなことをしたのかといえば燃料ポンプの重さが当時1.7kg、しかも信頼性が低かったためである。実はこの燃料タンクの仕組みも航空機に採用されていたことがあると言われる。909はゲルハルト・ミッターとロルフ・シュトメレンが操縦した。若いシュトメレンが909を選択したのに対してミッターは既に実績のあった910のステアリングを握り、このガイスベルクとモン・ヴェントゥーで優勝した。一方シュトメレンはエンジントラブルで3位と2位だった。

このガイスベルク・レネンの90周年を祝って、ポルシェは981ベルクスパイダー(コンセプト)を開発、今回909ベルクスパイダーとの共演が叶った。ところで軽量化は現代のポルシェにとっても大きな役割を担っている。この981ベルクスパイダー・プロジェクトは2015年にまず可能性が話し合われた。デザイナーのグラント・ラーソンはその時のことをよく覚えている。「まず、このプロジェクトに対する興味を掻き立てようとティザー・スケッチから始めました。まずちょっとだけ見せたのです」。その結果、この軽量スパイダーのプロジェクトは承認された。

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