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ポルシェが1台だけ作ったボクスターベースの軽量ヒルクライムレーサーの独占ウラ話

高価な銀やチタンを惜しげもなく使った909の車重はたったの375kg

1960年代におけるモータースポーツのキーワードは「軽量化」であった。勝者はエンジンパワーでも、空力特性でもなく、重量が決め手となったのである。

1960年代のベルクレネンはモータースポーツの頂点であり、そのトップの座を目指してフェラーリ、BMWそしてポルシェが凌ぎを削っていた。そこへ登場したのが909ベルクスパイダーである。この技術の頂点に立つレーシングカー開発の指揮を執ったのは当時ポルシェの開発担当フェルディナンド・ピエヒであった。このマシーンの開発は極秘裏に行われ、重要なスペックはピエヒとそのアシスタント、のちにピエヒの後任者となったヘルムート・ボットだけであった。

特に計量中は完全にオフリミット(立ち入り禁止)で、後日ピエヒは「ドライでわずか375kgだった!」と語っている。比較のために、910ベルクスパイダーは420kgであったから909が如何に軽かったかがわかる。45kgというのはレースの世界では決定的な差であった。そのために若きピエヒは徹底的な軽量化を行ったのである。それは彼のバックグラウンドである航空工学からヒントを得たもので、フレームは非常に細いアルミフレームから成っていた。それゆえにメカニックは絶対に車体に腰掛けてはいけないという決まりが厳しく守られていた。

さらに909の使用材料には価格を含め何の制約もなく、例えばケーブル素材は銅ではなく高価な銀を使っていた。またイグニッション・システムの絶縁体には軽量なバルサ材(木材)が、さらにスプリングにはチタンが使われていた。ピエヒは「私はずっと磁石を持ってチェックしていました。メカニックが間違ってスチールのボルトやナットを使わないように監視していたのです」と語った。