テスラも抜かれる! 巨大金型&組み立て中の車が走るトヨタ近未来工場の破壊力
掲載 更新 carview! 文:山本 晋也/写真:トヨタ自動車 249
掲載 更新 carview! 文:山本 晋也/写真:トヨタ自動車 249
トヨタが発表した「クルマの未来を変える新技術」というレポートが大きな話題となっています。
>>【スクープ】アルファード/ヴェルファイア価格判明! 最新わかったことまとめ
筆者の印象ですが、トヨタのエンジニアリングや開発能力の評価は、玄人筋と一般人でかなり異なっているようです。モータージャーナリストや自動車アナリストは、地域ごとに最適なパワートレインを用意するという「マルチパスウェイ」戦略を好意的に評価。「長年培ってきたハイブリッド技術はあらゆる電動化パワートレインに応用できるので、いつでもライバルをキャッチアップできる」といった記事を見かけることも多いでしょう。
一方、一般メディアやSNSなどでは「トヨタは技術的に遅れていて、このままではオワコンになる」とする評価が少なくありません。エキセントリックな発言で知られるイーロン・マスク氏が率いるテスラと比較して、トヨタの歩みの遅さを批判する記事も多く見かけます。
ほぼ正反対の主張が出てくるのは、現時点での評価をするのか、将来ヴィジョンから判断するのかといった違いがあるからともいえますが、そんな中、トヨタがテスラを超える近未来のヴィジョン「クルマの未来を変える新技術」を提示してきたのです。
非常に幅広い内容となっているのですが、今回は最もインパクトのありそうな、自動車生産の風景を変えてしまう技術を紹介してみましょう。
>>次は水素でル・マンを制す。トヨタが水素エンジン搭載のハイブリッドレーサーを公開
「ギガキャスト」というのは、ネーミングの通りにギガ(巨大)なキャスティング(鋳造製法=高温で溶かした金属を型に流し込んで成型:ちゅうぞう)のことです。
従来はプレス成型した数十点の金属部品を組み合わせ、溶接して作っていたボディの一部を、アルミ鋳造により一体成型しようというもので、すでにテスラが「ギガプレス」という名前で採用している生産技術のブラッシュアップ版といえるものです。(※テスラはギガプレスといっていますが、中身はキャスティング=鋳造です)。
今回、トヨタはタイヤを収めるホイールハウスと、BEVのモーターなどを搭載するサブフレームを一体化した鋳物パーツを発表しています。これだけ大きな部品をいっぺんに作ることができれば生産コストの低減につながるのは間違いありません。
<写真:右がギガキャストで作られたホイールハウスとサブフレーム>
もっとも、アルミ鋳造部品の課題として部品精度を高めることの難しさ、交通事故などを起こした際の補修の難しさなどが挙げられます。今回の発表では、そこまで踏み込んだ情報公開はなかったようですが、トヨタがギガキャストを採用するのであれば、そうした課題をクリアできる目途が立っているのだろう…と思わせるところはブランド力なのかもしれません。
<写真:モジュール化やギガキャストの導入で開発・工場投資コストを低減>
>>レクサス新型GX発表。ハイブリッド搭載、ガチオフ系“オーバートレイル”追加で遂に日本上陸!?
もうひとつの「自走組立ライン」は、このギガキャストで作った前後パーツにモーターを載せ、サスペンションやタイヤを取り付け、バッテリーパックで前後をつないだベアシャシー(ボディ上屋や内装など様々な必要パーツを装着する前の状態)になったら、工場内を“自走させる”というアイデアです。
ようは組立ラインに入る前段階でシャシーだけで走れる状態に仕上げておいて、自動で次の工程へと自走させてしまうわけです。
<写真:組み立て中のクルマを生産ラインで自走させて工場投資を低減>
通常の組立ラインというのは、車体をフックで吊ったり、ベルトコンベアに載せたりして移動させる必要があります。そのためラインの設計変更が非常に難しく、一度作り上げた組立ラインは年単位で使い回すのが常識でした。
しかしBEV専用ラインであればベアシャシー状態でも容易に自走させることができるため、コンベアを廃した自由度の高い工場の設計ができます。これは排ガスを出さないBEVならではのアイデアといえるでしょう。
>>電撃の統合でドラ息子「日野」を切ったトヨタの真意は勘当か、愛のムチか?
これまでの自動車組立工場といえば、大型のプレス機で鉄板を打ち抜き、その部品を溶接ラインでモノコックボディとして組み上げ、その後に塗装や内外装の取り付けといった工程を経て完成させていました。
トヨタの発表した「メガキャスト」や「自走組立ライン」が実現すると、大型プレス機が巨大な鋳造装置となり、組立ラインからコンベアがなくなるという風に、工場の景色が一変する可能性があります。アルミ鋳造部品の特性を考えると溶接より接着を多用する可能性もあり、溶接ラインも短縮されるかもしれません。
こうした新技術は、変えることが目的ではなく、生産コストを下げることが狙いですから、必要に応じてプレス機を使うところもあるでしょう。それでも、これほどドラスティックな技術革新を実現レベルまで持ってきたトヨタには驚きです。その開発力は、やはり玄人筋が評価してきたように、非常に高いものであったと判断せざるを得ません。
これらの新工法で生産されるクルマがいつになるのかは不明ですが、そう遠くない将来にトヨタの工場内では組み立て中の車両が自走している風景が当たり前になりそうです。
ログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
“蛇口をひねれば全て天然温泉”の「朝野家」で楽しむ美肌の湯【風呂じまんの宿31選】
BYD 2025年導入予定 国内4台目の新型モデルを初公開!東京オートサロン2025
無限 新型「シビック タイプR」開発1年の新量産パーツまとい見参!東京オートサロン2025
スズキが新型ルアー開発!?釣具メーカー「メガバス」コラボ商品販売 東京オートサロン2025
30周年とModulo Nakajima Racingへの応援に感謝を込めて『モデューロ・サンクスデー2025』が2月24日開催
そろそろ[変化]必要!? 日本の[自動車税]制の正解を探る
ホンダ フリードの車検費用の相場を解説!節約方法や2回目以降の金額も紹介
2025最新版《セレナ》ズバリ! “買い”のポイント
ホンダと日産が経営統合を検討! あくまで立場は同等も「ホンダ主導」が見える会見
2026年登場!? [予想CG]大公開! 次期ホンダ プレリュードが楽しみすぎる件
正月休みを使って約10年かけて仕上げたアルファ ロメオ「ジュリエッタ スプリント」の秘密と誰でもうまく運転できる秘訣とは?
【東京オートサロン2025】当日公開予定のコンセプトカーをチラ見せ!【日産】
【新旧エクストレイルをカスタム!】ポタ電10台搭載の災害対応キャラバンなど、日産の「オートサロン2025」出展車両を事前公開
新型「レクサス GX」争奪戦は年始~。公取協の指導で“先着順”のフェアな販売に変わるのは朗報!
【今年はコスパ元年】フロンクスからランクルまで、お手軽予算や最強リセールで覚えておくべき車5選
【ホンダの逆襲】新型「プレリュード」が“ハイブリッド革命”と話題に…エンジンの超進化が向かう世界
【発売秒読み!?】マツダ、2.0Lチューンドエンジン×幌の高性能「ロードスター」市販予定仕様を公開【TAS25】
【ライバルもビックリの強烈さ】スズキ新型「ソリオ」公開! 「フロンクス」のクールなカスタム仕様も【TAS25】
【無敵の布陣完成】トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」一部改良。廉価版・PHEV・最上級4人乗り一挙追加…510万円から
【2025年もシークレットあるかも?】スバルがオートサロン出展概要発表 新色のBRZなど展示
【まるでドラマ】鴻海をけん制し、株価をV字回復させ、日産とホンダの統合を進める経産省の凄腕ぶり
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!