雪上で堅実な性格を改めて感じる 思いっきり安定志向のパサートオールトラックと地味なティグアン
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
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この路面に対してパワーステアリングの操舵感は快適に過ぎるほど軽め。これに最初は戸惑ったが、少し走るとその巧みな足さばきに体がすぐに馴染んだ。パサートの場合は車輌の大きさやワイドなトレッドが功を奏しているのか、高められた車高でもロール感はゴルフのオールトラックより少ない感じがする。この背の高さを支えるべく高められたであろうスプリングレートに対しても、ダンパーの追従性が優秀で乗り心地を確保しながら、グラグラ感や突っ張り感が抑えられている。
フォルクスワーゲンの美点である可変ダンパー「DCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)」はスタッドレスタイヤ(ミシュラン X-ICE3+)の雪や氷をつかむ感触を漏らさず手の平に伝えてくれるため、直進してもハンドルを切っても自分が置かれた状況がつかみやすい。
4モーションは通常FWD車として走り、必要に応じてその駆動力を後輪へ100:0から50:50まで伝える4WD。センターデフを持たないオンデマンド式4WDだが、これはフォルクスワーゲンの性格にはマッチしたシステムだ。
駆動力は常に前輪へ50%以上かかるため、基本的なハンドリングは弱アンダーステア。そして前後輪の回転差が生じれば素早く電子制御クラッチを介し後輪へトルクを配分、さらに安定性を高めるわけだが、その連続可変制御に違和感がないため、ドライバーは気を取られることなく自然に走り続けることができる。
同じシステムを使いながらも、「アウディA3」や「ジャガー Eペイス」、「ランドローバー レンジローバー イヴォーグ」に比べて明らかに安定志向なハンドリングは、フォルクスワーゲンというメーカーの考え方そのもの。第5世代ハルデックスカップリングの緻密な連続可変制御を使って、誰もが安心して悪路を走れるパラメーターを与えることが彼らのポリシーなのだ。これをツマラナイと言ってしまえばそれまでだが、逆に言えばタフギアとしてガンガン使い倒すのはヨーロッパ的である。
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