BRZに公道試乗 買いのモデルと課題は?
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:小林 俊樹
前述したように、街で乗るBRZは気軽で扱いやすいクルマだが、そんな印象はMTモデルを選んでも変わらない。クラッチペダルは決して重くなく、ミートポイントも掴みやすい。加えて2L水平対向4気筒は、自然吸気でリッターあたり100psを発生する高出力エンジンでありながら下からしっかりとトルクが出ているため、たとえば1-3-5といった“飛ばし”シフトも気軽に受け付けてくれるし、速度が50~60km/hに達すれば6速も十分使える。もちろん、高速道路では6速キープのまま実用的な加速が可能だ。
残念なのは、坂道発進時のズリ下がりを防ぐヒルスタートアシストが付かないこと。「自分でコントロールすることを重視してあえて外した」とのことだが、ちょっとこだわりすぎなのでは? 僕はヒルスタートアシスト付きのMT車に乗っているが、決してドライビングプレジャーを損なう機能ではない。むしろあったほうが絶対に便利だと思う。
日常使いでの柔軟性もさることながら、BRZのエンジンの最大の魅力は、ドライバーの気分スイッチがオンになった瞬間、それにきっちりと付いてきてくれるところだ。手首の返しだけでカチカチと決まるMTを操作して低いギアを選択しアクセルを踏み込む。回転が上がるにつれコックピット内には猛々しいサウンドが響き、レスポンスは鋭さを増し、パワーカーブもドラマティックに盛り上がる。これはもう最高のエキサイトメントである。
たった200psなのに? と思うかもしれない。たしかに暴力的な加速ではない。けれど実際にドライブすれば、回転の上昇とともにアドレナリンが大量に流れ出ることをはっきりと意識できるだろう。もっとスムースなエンジンはある。もっとパワフルなエンジンもある。もっと静かなエンジンもある。だが、ドライバーの感性をこれほどまでに刺激するエンジンはなかなか見あたらないのが現実。加えて低重心、低ヨー慣性モーメントにも大きく貢献しているのだから、スバルとトヨタの合作であるFA20型は、間違いなく希代のスポーツカー用エンジンである。
6速ATについても触れておこう。イージードライブ性はもちろんだが、トルコンのスリップ領域を抑え込んだダイレクトなフィーリングはBRZのキャラクターによくマッチしている。パドルシフトを駆使して走ったときの元気のよさは想像以上。渋滞を走る機会が多い、奥様も運転する、そもそもMTを運転できないなど、さまざまな事情からATを選んだとしても、BRZの魅力は十分に味わえる。
ただし、トルセン式LSDを装着したAT車の場合、ステアリングを切った状態で発進する際はアクセルコントロールに少々気を遣ってやる必要がある。クラッチミートを自分でコントロールできるMTならさほど問題にはならないが、ATは発進直後のトルク増幅効果もあって少しでも踏みすぎると後輪からキュキュッというスキール音が発生しやすい。わざとでなくとも、交差点でスキール音など出したら歩行者に白い目で見られるのがオチである。もし僕がBRZのAT車を買うなら、LSDがオプションとなる「R」グレードを選ぶだろう。
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