発表は10月、1000万円超えでも買う価値あり! 次期「BMW M2」はM3/M4譲りのシャシーや新ATで走りを大きく洗練させた
掲載 carview! 55
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ドイツ・プレミアム御三家のカタログにはコンパクトスポーツモデルに加えて、400馬力超えのハイエンドハイパースポーツが存在する。「アウディ RS3」、メルセデスAMG「A45」 、そして「BMW M2」である。とりわけM2は後輪駆動、すなわちFRレイアウトで、しかも直列6気筒ツインターボエンジンを搭載する御三家の中でも非常にレアな存在だ。
現行のM2(F87)は2015年に初登場したモデルで、7年目を迎えた今年10月にフルモデルチェンジされる予定になっている。
現在は開発の最終段階だが、M社はティザーイベントとしてオーストリアのザルツブルグリンクでプロトタイプをドライブするチャンスを与えてくれた。全長4.25kmのグランプリコースに現れた次期M2はまだM社のトリコロールをランダムに配したカムフラージュが施されおり、デザインの詳細は確認できない。
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シルエットはすでに昨年から発売されているロングノーズ&ショートデッキの2シリーズクーペ(G42)と同じだが、前後のホイールハウスが大きく膨らんでいる。また、リアエンドに見える4本出しエグゾーストパイプも健在である。
正確な数字はまだ発表されていないが、旧M2よりも全長はおよそ10cm長く、全幅は5~6cmはワイドになっているはずだ。また、話題になっているキドニーグリルはM3やM4とは違って小さく控えめなものだ。
パワートレーンはS55から、M3/M4に搭載されているS58へとアップグレードされた直列6気筒ツインターボが搭載され、最高出力は少なくとも450PS、最大トルクは550Nmを発生すると言われる。また組み合わされるトランスミッションは標準で6速MT、オプションで8速AT(M社チューンのMステップトロニック)が用意される。
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インテリアは走行に必要な個所以外はカバーされているが、BMWモデルと共通の横長のカーブドワイドスクリーンで、表示メニューはM2オリジナル。プリセットされたMモードから選択するドライブメニューは基本がロード、スポーツ、トラックの3種で分かり易く表示される。もちろんインデュヴィジュアルセッティングも可能である。
最初に試乗したのは6速MTで、腰の部分をしっかりとサポートしてくれるMデザインのスポーツシート、太めのステアリングホイールとシフトレバーがほぼ完ぺきなドライビング・ポジションを提供している。
まず最初は慣熟走行、このGPコースは2本のストレートをいくつかのコーナーで繋いだハイスピードコースで、最終コーナーを抜け、2周目で750mのストレートに入るとペースを上げてのスポーツ走行に入る。
前方車輛との間隔を保ちながらスロットルペダルを踏み込むと6気筒ビートサウンドを伴う気持ちの良い加速でストレートの終わりでは270km/hを超える。ブレーキングしながら最初のS字コーナーへ入ると、Rがかなりきつく2速まで落として、再びスロットルを踏み込んだのだが、ステアリングを戻しながら加速をすると非常にコントローラブルで、コーナリングを楽しむことが出来た。
旧M2だったらもうちょっとてこずったかも知れない。これは明らかにM3/M4から転用されたシャシーによる恩恵だろう。ホイールベースは2747mmで現行M2よりも54mmも延長され、ボディリア部分の剛性アップも行われている。さらにニュルブルクリンク北コースでの開発過程でフロントに比べてリアサスペンションはややソフトなチューニングを与えるとともに、減衰力の高いダンパーがM3ツーリングから移植されている。
8速オートマチック仕様に乗り換える。多分ファイナルの変更だけで基本的にM3/M4と同じMステップトロニックで、現行M2の7速DCTよりもずっと洗練されたドライバビリティを発揮する。
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この次期M2は冒頭に述べたように10月のワールドプレミアの後、来年4月からメキシコのサン・ルイス・ポトシにあるBMWメキシコ工場から一斉に世界市場に向けて出荷される。
日本での価格はまだ発表されていないが、すべての面でアップグレードされた次期M2はすでに販売を終了している旧M2(F87)よりも最低で10%は高くなるだろう。円安が続けば1,000万円の大台を超えるかも知れない。
決して安い買い物ではないが、この新しいM2は今年50周年を迎えたBMW M社から電気の助けを借りない最後のニューモデルとなるはずで、コンパクトFRスポーツモデルのファイナルバージョンへの投資と考えれば納得が行くはずだ。
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試乗:アレキサンダー・オーステルン
解説:木村好宏
写真:Kimura Office
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