プジョー508/508SW 勝負のプライスタグ!
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
ATの他、日本仕様で目に付いたのがセンターコンソールパネル周りのレイアウト変更だ。本国仕様はナビ画面が上で空調スイッチが下になるが、日本仕様は上下逆になっている。視認性の面から言えば、ナビ画面はできるだけ高い位置にレイアウトした方がいいのだが、本国仕様のナビが日本の地図に対応していないこと、かといって日本で調達できる2DINサイズのナビでは大きすぎて収まらないということで、やむを得ず上下逆さにしたそうだ。
これまでオーディオ関係のフィッティングにはあまり気を遣ってこなかったプジョージャポンだが、508ではピアノブラックの専用フィッティングパネルを新たに起こして2DINサイズのナビを違和感なく埋め込むなど、仕上がりは悪くない。ただ、本国仕様の美しく、かつ機能的なレイアウトを知っている僕としてはちょっと残念ではある。パナソニック製純正ナビの性能は文句なしだが、最近はPNDやスマートフォンでも実用に耐える道案内をしてくれることを考えると、あえてナビはオプションにとどめ、本国仕様のデザインを残しつつ、ナビの価格分を引いて販売するという選択肢もあったように思う。
フットワークはすでに海外試乗レポートで報告済みだが、欧州仕様と日本仕様ではフィーリングに若干の違いがあった。基本的には滑らかでフラットで軽快でしっかりしている足回りなのだが、尖ったショックに出会った際、日本仕様の方がゴツゴツ感をストレートに伝えてくる傾向を感じた。これはアリュールの16インチ、グリフの17インチ、あるいはセダン、SWともに言えることで、良路ではとても気持ちのいい走り味を示してくれるのだが、荒れた路面ではプジョーらしい猫足を感じにくい場面があった。
実は、日本仕様は転がり抵抗の小さい低燃費タイヤを選択しているとのこと。おそらくこれがゴツゴツ感の原因だろう。標準装着タイヤ選択を見直せば、508のフィーリングはもっとずっと良くなるはずだ。もし僕が508を買うなら、少々もったいないが最初のタイヤ交換時期を早めにして、コンフォート性能を重視したタイヤに履き替えるだろう。
端正で美しいデザイン、優れた質感、大柄な男性4人を快適に収める広い室内、ゴルフバッグの横積みも可能な広いラゲッジ、気持ちのいい走り味、良心的な価格設定など、508は非常に優れたトータルバランスを備えたミドルクラスのセダン&ステーションワゴンだ。フランス車ファンだけでなく、日本車やドイツ車に乗っている人にも「一見の価値あり」とお伝えしておきたい。
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