テスラに乗ってテスラを作っているロボットの製造工場を見学に行った
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:テスラ・モーターズ・ジャパン、編集部
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:テスラ・モーターズ・ジャパン、編集部
「弊社が目指しているのはゼロダウンタイムです」と稲葉博士。すなわちいくら高性能で作業効率が高くても、壊れて止まったら、人間が作業するほうがマシということになる。お客さまに高価なロボットを導入してもらうからには、“壊れない、壊れる前に知らせる、壊れてもすぐ直せる”ロボットでなければならない。壊れる前に前兆を把握できれば、稼働していない時間に対処し、ダウンタイムをなくすことができるというわけだ。このため、ファナックのロボットの多くはネットワーク化されており、その状態を通信によって別の場所で把握することができる。
こうした“コネクテッド”化は、自動運転車両にも必須の考え方とされるが、ロボットの世界も同様。AIがどんどん活用されるようになっているのも同じだ。また自動運転車両にも言えるが、ロボットを通信によってコネクテッドすることによって、ロボットの頭脳、すなわちコンピューター部分のいくらかをクラウドを経由して別の場所に置くことが可能となる。ロボットが置かれる環境は温度が高かったり埃が多かったりと、コンピューターにとって過酷な環境であるケースが多い。コンピューター部分を環境の整った別の場所へ置くことができれば、信頼性が増すし、別々の場所にあるロボットに同時にシステムのアップデートをかけることも可能だ。万一通信に問題が発生した場合に備え、ロボット単体にもコンピューターを残し、スタンドアローンで最低限の判断能力をもたせ、予期せぬ動きを防ぐ必要があるが。
この日、さまざまなデモを見て、ロボットの万能感に圧倒されたが、稲葉博士によれば、現状では柔らかいモノを扱うのが苦手だそうだ。例えば、ケーブルの先を狭い場所の奥にある部分に差し込むような作業は人間に勝てないと聞き、少しうれしかった。
見学を終え、今度はモデル「X 75D」で東京へ向けて走行中に考えた。このクルマの前後車軸それぞれに電気モーターが搭載され、4輪を駆動している。前述したとおり、そのモーターはアームと組み合わせられるとロボットになるのだ。つまり我々は今後ますます高性能コンピューターで制御されたモーターによって移動し、モーターによってあらゆるモノを生産する時代を生きることになるのだ。モーター不可欠時代。モーターさまさま時代。モーターを制するモノが世界を制する…のかもしれない。ま、コンピューターもモーターも電力がないと稼働しないから、結局は電力の時代というべきなのかもしれないが。
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