「AMG」ってどんなブランド？ 最新「GT63S」で思い出す名車中の名車「190E3.2」はなぜ世界を魅了したのか

AMG 300SEL 6.8

無名のガレージが快挙。AMGが名を上げた“スパの奇跡”

AMGの技術力は卓越していた。1971年には当時の最上級サルーン（現在の「Sクラス」）である「300SEL」をベースとした「AMG 300SEL 6.8」（428ps）で、スパ・フランコルシャン24時間レースに参戦。

完全なプライベート参戦でありながら、堂々の総合2位・クラス優勝を成し遂げた。過酷な24時間レースでの好成績が、メルセデス・ベンツのチューナーとしてAMGの名声を決定づけたのである。

これを契機に、メルセデス・ベンツ本社もAMGの技術力を認め、AMGを公認チューナーとして特別なポジションを与えるようになる。ユーザーからはストリートチューンのオーダーが加速度的に増えていった。

1980年代に入ると、AMGはエンジンチューニングやエアロパーツの開発・販売にとどまらず、コンプリートカーも手がけるようになる。BMWに対するアルピナのように、スペシャルブランドとしての地位を確立していったのである。