新型カングーに隠されたルノーマジックとは?
掲載 更新 carview! 文:まるも 亜希子 /写真:菊池 貴之
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もはや頭の中は、今すぐ仲間たちとバーベキューにでも行きたい気持ち一色なのだが、そうはいかずに1人で試乗を始めた。たしかにまず、アイポイントが高くなったことを実感する。シートリフターやチルトステアリングが標準となったので、女性でもポジション調節しやすいのが嬉しい。このあたりも、取り回しの良さに効いているだろう。
インパネデザインは本国にある商用モデルと同じという事情もあり、基本的な操作性に文句はない。センターパネルにニョキッと生えたシフトレバーは、マニュアルモード付き4ATで、予想以上に小気味いい感触だ。L字型のサイドブレーキは、例のポストマンが1日何百回も操作することを考慮して、このカタチになった。そしてドアパネルを見て驚愕したのは、パワーウインドウのスイッチが4つになっていること。そう、先代はリアウインドウがフラップ式だったのだが、新型カングーはしっかり全開にできるようになったのだった。
走りは駐車場から車道に出るまでの間で、すでに「おお!」とその変化に驚いていた。身体に伝わってくる感覚が、とても落ち着いて、しっとりしている。誰かとても逞しい男性にエスコートされているような、今までにない安心感がある。セニックと同じシャシーや、今回から電動となったステアリングの効能は予想以上だ。ただ、これだけのボディに1.6リッターエンジンだし、4ATだし、正直なところ加速の力強さなどはそれほど期待していなかった。しかしまたしてもルノー・マジック登場で、これがなかなかに楽しめる加速フィールに仕上がっている。もちろんイケイケの刺激はないし、高速の上り坂などでは余裕はないけれども、「踏めば応える」的な楽しさだ
結果的に私は、東京から箱根を往復できるぐらいの時間、新型カングーを満喫していた。乗り心地、静かさ、コーナリングの安定感や4輪ディスクになったブレーキと、まだまだいくらでも褒めるところがあるのだが、それじゃ芸が無いのであえて1カ所、広報のSさんに文句を言った。「ルームミラー、小さすぎませんかね?」と。そんなことしか言えないくらい、新型カングーはかわいいヤツなのである。
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