新型カングーに隠されたルノーマジックとは?
掲載 更新 carview! 文:まるも 亜希子 /写真:菊池 貴之
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てくてくと試乗会場へ向かっていると、煩雑な風景の中で100m以上手前から、まぎれもないカングーの姿を認めて嬉しくなった。変わったけど、変わってない、絶妙なサジ加減の新型がそこにいた。アーモンド型のヘッドライトやフェンダーの盛り上がり具合、サイドモールなど、カングーテイストがしっかり継がれている。リア両側のスライドドアも健在で、開口部は私が2人並んで通れるほどの広さ。そしてお約束の観音開きリアゲートを開けると、さらに低くてフラットになった荷室があった。
今回はルノーの7人乗りミニバン、セニックのプラットフォームを採用しているので、ボディサイズはやはり相応に大きくなっている。けれどもよくよく聞くと、大きくなったけど、小さくなっている!? 新型に隠された、様々なルノー・マジックをちょっと披露しよう。
まずは取り回しのナゾ。新型カングーはボディサイズをはじめ、ホイールベースやトレッドなど全てが先代より拡大したというのに、最小回転半径だけは5.1mに縮小した。だから、予想外に小回りがきく印象だ。
それから、燃費に影響する空気抵抗のナゾ。新型カングーの前面投影面積は、先代に比べて8%増加し、車両重量は260kgも増加しているのだが、なぜかCd値は10%減少したという。そのため、燃費は先代比5%減の12.7km/リッター(欧州複合モード)に留められている。
そしてそして、運転席からの視界のナゾ。ボディが拡大すると直下視界は死角が増えるものだが、新型カングーはアイポイントを約100mmアップし、サイドのベルトラインを低くするとともに、実はボンネット長は先代より短い。そのため前方・側方とも先代以上に死角が小さくなっている。こうした、運転する人に嬉しい改善をいくつも施しながら、室内空間は広く快適にし、カングーテイストもしっかり残す。これがマジックでなくて、何だといえるだろう。
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