デミオ量産モデル試乗。完成度は国産ライバルを圧倒
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:中野 英幸
クラスのベンチマークを目指したというインテリアもいい出来だ。とくに気に入ったのが、シート、ダッシュボード、ドアトリムにオフホワイトを使ったLパッケージ。とても寛げるし、何よりセンスがいい。ステアリングホイールの触感やインテリアスイッチのレイアウト、操作フィールといった細かい部分の仕上がりも上々だ。僕のなかでのランキングでトップだったフィットのインテリアを鮮やかに抜き去った。アクアやヴィッツやマーチと比べたらまるで高級車である。
ただし、ここまで仕上げてくると、いくつか改善を期待したい部分も目に付いてくる。センターコンソールパネル下端にはアクセサリー端子(USB×2、SDカードスロット、AUX入力、DC電源)を用意しているのだが、ムキ出し感が強すぎて全体の上質感をスポイルしている。実用性を考えればカバーはないほうがいいという判断も理解できないではないが、個人的にはカバーが欲しいし、カバーをしないならもう少し質感を高めるか、あるいは目立ちにくいデザイン処理を施して欲しい。ダッシュボードからドアパネル、同じくダッシュボードから液晶モニター基部につながる部分のシボ合わせももう1段階引き上げたいし、ルーフトリムも不織布ではなくニット地を使って欲しかった。サンバイザーのチケットホルダーが薄手のビニール製で、使っていくうちに伸びてユルユルになりそうな点も気になった。
もちろん、こういった要望は、全体的な仕上がりがそうとう高いレベルに達しているからこそ出てくるもの。135万円スタートのコンパクトカーに対しては贅沢すぎる注文ではある。しかし、クラスのベンチマークを目指すと宣言しているからには、いずれVWポロに並ぶ質感を実現してもらいたい。そしてゆくゆくはオールレザーやアルカンターラを使った上級バージョンもラインナップに加えて欲しいと思う。デミオのインテリア、いやデミオというクルマには、それだけの可能性が備わっている。
数少ない弱点になりそうなのが室内スペースだ。スタイリッシュなフォルムとゆったりしたペダルレイアウトにスペースを割り当てた結果、後席とラゲッジスペースにしわ寄せがきている。室内の広さに惹かれて初代&2代目を購入したデミオオーナーからすると、先代同様、新型も広さでは満足させてくれないだろう。フィットと比べてもそのあたりの実力は劣る。身長175cm級の大人4人を無理なく収めることはできるが、それ以上の広さや広々感をプライオリティの上位に置いたクルマ選びをするなら、新型デミオは選択肢からはずれるかもしれない。
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